日本人会社員SAOさん、世界的SNSバズの真実:イーロン・マスクも注目した現象の背景

会社員として働く傍らタレント活動も行う佐保里(SAO)さんが、ある日突然、世界中で注目の的となりました。いつものようにSNSに投稿したポストには8300万以上のインプレッションがつき、フォロワーはわずか7000人程度から38万人へと急増。この驚くべき現象は、アメリカで勃発したファッション広告を巡る論争に端を発しており、最終的にはX(旧Twitter)のオーナーであるイーロン・マスク氏までもが反応を示す、世界規模の「バズ」へと発展しました。本記事では、この予期せぬ世界的現象の詳細と、突然の注目が当事者にどのような影響をもたらしたのかを探ります。

笑顔で写る日本人会社員兼タレントの佐保里(SAO)さん。彼女の投稿が世界的SNSバズのきっかけとなった瞬間を捉えたイメージ。笑顔で写る日本人会社員兼タレントの佐保里(SAO)さん。彼女の投稿が世界的SNSバズのきっかけとなった瞬間を捉えたイメージ。

日常の「おはよう」投稿が世界を揺るがす:SAOさんを巡るSNS拡散の経緯

佐保里さんが世界的バズの渦中に巻き込まれた発端は、202X年7月23日に米国で起きた出来事にさかのぼります。ブロンドで青い瞳の白人俳優シドニー・スウィーニーさんを起用したジーンズ広告が、その表現内容から米国内で大きな物議を醸していました。

そのわずか2日後の7月25日、佐保里さんは日課である写真付きの「おはよう」ポストをSNSに投稿。すると、翌26日にはこの投稿が海外のユーザーの間で拡散され始めました。さらに28日には、ある海外ユーザーが佐保里さんの写真を引用し、「スウィーニーさんとどっちがいい?」という比較投稿を行ったことで、佐保里さんの写真は海外で「ミーム化」する現象が起こります。そして運命の7月31日、彼女の写真は遂にイーロン・マスク氏の目に留まり、世界的な注目へと一気に加速しました。

スマートフォンを手に持つ佐保里(SAO)さん。彼女の何気ない「おはよう」投稿がイーロン・マスク氏の目に留まり、社会現象となった経緯を象徴する。スマートフォンを手に持つ佐保里(SAO)さん。彼女の何気ない「おはよう」投稿がイーロン・マスク氏の目に留まり、社会現象となった経緯を象徴する。

「ジーンズ」広告論争の深層:「優生思想」批判とネットの反応

この一連の騒動の背景には、問題となったジーンズ広告の台詞があります。「シドニー・スウィーニーは素晴らしいジーンズ(JEANS)を持っている」というフレーズに対し、「私のジーンズ(jeans)は青」「遺伝子(genes)は親から子へと受け継がれる」といった台詞が続きました。特に、「素晴らしいGENES(遺伝子)を持っている」と書き換えられるバージョンが出回ったことで、視聴者からは「白人至上主義的だ」「ナチス的な優生思想を想起させる」といった厳しい批判が噴出したのです。

7月28日に海外ユーザーによって行われた比較投稿は、3801.6万件の表示数を記録し、3358件の返信、4101件のリポスト、6.9万件の「いいね」、1.6万件のブックマークを獲得する驚異的な反響を呼びました。Xのアンケート機能を用いた「どっちを選ぶ?」という質問では、「セクシーなジーンズのスーパーモデル(シドニー・スウィーニー)」が22.9%であったのに対し、「ランダムに選ばれた日本の会社員女性(佐保里さん)」が77.1%と、圧倒的な支持を得る結果となりました。

突如の世界的注目とSAOさんの本音:フォロワー急増のインパクト

佐保里さんのSNSアカウントは、7月25日以前はフォロワーが約7000人程度でした。しかし、この世界的バズをきっかけに状況は一変します。問題の画像をポストした7月25日以降、26日には海外ユーザーの間に広がり、5〜6万件の「いいね」を獲得。英語で「結婚しよう」などのメッセージが殺到し、Instagramにも同じ写真を投稿したところ、フォロワーは20万人増加しました。27日には10万件の「いいね」を超え、28日には英語での自己紹介ポストを投稿(現在29万「いいね」)。29日には20万「いいね」を突破し、8月14日現在では「いいね」は27万件、フォロワー数は38.4万人に達しています。

フォロワーが急増したことについて、佐保里さんは「正直実感がない」と語ります。「画面上ではすさまじい数字ですが、現実社会は何も変わらない。気付く人もいなければ、働いていた会社でも皆知らなかった。不思議な感覚と、うれしい気持ちが半々です」。

イーロン・マスク氏が反応したことについては、「びっくりして、本人のXなのか何度もプロフィールを確認しました」と当時の心境を振り返り、「1週間で30万人のフォロワーが増えた。いまだに実感がなく、他人を見ているような感覚です」と述べました。

話題となった写真以前にも、佐保里さんは写真付きの「おはよう」投稿を続けていました。「2月までアイドル活動をしていましたが、その前後も毎朝7時ごろに、写真付きで『おはよう』と投稿するのが日課でした。おそらく1年は続けています」。

そんな日常的な投稿が、ある日突然バズったため、「アメリカ人から『写真が使われているよ』とDMが来て知ったのですが、最初は『なぜ私なんだろう』と、理解が及びませんでした」とのこと。しかし今では、「視聴者のほとんどが、アメリカなど海外ユーザーのため、日本語で投稿し続けるのは親切ではないのでは」との思いから、英語での投稿も開始しました。「応援してくれる人が世界にいるのであれば、世界に向けた活動をしていきたい」と、今後の展望を語っています。

結論

日本人会社員兼タレントの佐保里(SAO)さんが、予期せぬ形で世界的なSNSバズの渦中に巻き込まれたこの出来事は、現代におけるソーシャルメディアの計り知れない影響力と予測不可能性を浮き彫りにしました。遠く離れた国で起きた広告論争が、日常のささいな投稿をきっかけに一人の日本人に注目を集め、世界的著名人であるイーロン・マスク氏までもが反応するという現象は、インターネットが国境を越え、いかに瞬時に情報を拡散し、新たな社会現象を生み出すかを鮮やかに示しています。

佐保里さん自身が語る「実感のなさ」と、それでも前向きに「世界に向けた活動」を目指す姿勢は、突然の注目に対する戸惑いと、新たな可能性への適応を示唆しています。この事例は、デジタル時代において誰もが予期せぬ形で「バズ」を経験しうる可能性と、それがもたらす光と影の両面を考える上で、貴重な示唆を与えるものと言えるでしょう。

参考文献