米ロ首脳会談:プーチン氏への「赤絨毯」歓迎に米国内で批判集中

アラスカで行われた米ロ首脳会談において、トランプ大統領がプーチン大統領を「赤絨毯」で出迎えたことが米国内で大きな批判を呼んでいる。この異例の歓迎は、単なる外交儀礼を超え、国際的な注目を集める結果となった。

アラスカにおける歓迎と米メディアの反応

プーチン大統領は、米アラスカ州のエルメンドルフ・リチャードソン空軍基地へ専用機で到着。迷彩服の米兵が赤い絨毯を敷設し、トランプ大統領が拍手で出迎え、両首脳は親しげに握手した。そこから別の赤絨毯の上を歩き、写真撮影の縁台へ。記者からの質問には、プーチン大統領は「聞こえない」と身振りで示した。トランプ大統領は自身の専用車「ビースト」にプーチン大統領を招き入れ、会談場へ移動した。
アラスカの米空軍基地で赤い絨毯の上を歩くトランプ大統領とプーチン大統領アラスカの米空軍基地で赤い絨毯の上を歩くトランプ大統領とプーチン大統領

この「赤絨毯」での出迎えは米主要メディアの注目を集め、CBSニュースは「プーチン、赤絨毯扱い」と、MSNBCも「赤絨毯上で会う」と報じた。批判的な論調が強く、英インディペンデント紙電子版は「訴追された戦争犯罪人を『赤絨毯』で迎えた」と直接的に非難した。
プーチン大統領を乗せて出発するトランプ大統領専用車「ビースト」プーチン大統領を乗せて出発するトランプ大統領専用車「ビースト」

国際刑事裁判所(ICC)による戦争犯罪容疑と米国の立場

プーチン大統領は2年前、ウクライナ侵攻を巡り、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)から戦争犯罪容疑で逮捕状が出されている。このため、日本を含むICC加盟124カ国はプーチン大統領が入国すれば逮捕義務があり、訪問可能国は限られる。米国はICCに非加盟のため、今回の会談がアラスカで設定されたとの見方もある。

今回の米ロ首脳会談における「赤絨毯」での歓迎は、外交儀礼と国際法上の責任との間の複雑な国際関係を浮き彫りにした。プーチン大統領へのICCによる逮捕状が発出される中での米国の対応は、今後も国際社会の議論の対象となり続けるだろう。


参考資料

  • FNNプライムオンライン
  • CBSニュース
  • MSNBC
  • 英インディペンデント紙電子版