アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領および欧州諸国の首脳らとの連続会談を経て、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談実現に向けた仲介努力を本格化させています。領土問題における両者の隔たりは依然として大きいものの、トランプ大統領は和平交渉の仲介に強い自信を見せており、その動向が世界の注目を集めています。
欧州首脳からの異例の称賛と期待
ホワイトハウスの一室に集まったトランプ大統領と欧州首脳の間では、異例とも言えるトランプ大統領への称賛が相次ぎました。ゼレンスキー大統領は「ウクライナの安全はアメリカとヨーロッパ諸国にかかっています」と述べ、支援の重要性を強調。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、プーチン大統領との膠着した関係を打開し、ウクライナの安全保障に関与する姿勢に感謝を表明しました。イタリアのジョルジア・メローニ首相も「この3年半、ロシアは対話に応じる兆候すらなかったのに、トランプ大統領のおかげで何かが変わり始めています」と、トランプ氏の外交手腕を高く評価しました。
トランプ大統領と欧州首脳、ウクライナ支援と和平交渉の進展を協議
会合に先立ち、ウクライナ大使館で対策を練ったとみられる欧州首脳らは、以前のトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が口論に発展した経緯を踏まえ、ロシア寄りのスタンスが指摘されるトランプ大統領を自陣に引き戻そうと細心の注意を払いました。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「戦争解決のための3者会談のアイデアは非常に重要です」と、建設的な対話への期待を示しました。
トランプ氏の和平アプローチ:派兵否定と直接交渉の重視
トランプ大統領は、欧州の期待に応える形でアメリカもウクライナ支援に関与することを明言し、「我々はウクライナを支援しますし、非常に安全なものにしようと思っています」と述べました。しかし、「安全の保証」を求めるウクライナにとって大きな関心事である米軍のウクライナへの派兵については、「派遣しないことを保証します」と明確に否定する姿勢を貫きました。
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が停戦を促す場面もありましたが、トランプ大統領は「次回の会合が停戦なしで行われることは想像できません。ウクライナ抜きでもダメです。ロシアに圧力をかけましょう」という首相に対し、「ゼレンスキー大統領とプーチン大統領が直接話してから考えましょう。ちなみに私が解決した6つの紛争では停戦なしに和平交渉ができています」と回答。ロシア寄りとされる「停戦より和平交渉」という独自のスタンスを崩しませんでした。
プーチン大統領との電話会談と会談場所の調整
会合の最中、トランプ大統領はモスクワ時間午前1時にプーチン大統領と40分間の電話会談を実施しました。この会談で、ゼレンスキー大統領との対面会談、さらにはトランプ大統領自身も含む3者会談の調整に着手したと報じられています。フランスメディアの報道によると、プーチン大統領はこの電話会談で、モスクワでの直接会談を提案したとされています。
レビット報道官は、「プーチン氏も18日に合意しているゼレンスキー氏との会談について場所の候補地が多くあり、アメリカも含め協議中です」と述べ、具体的な会談場所の選定が進行中であることを明らかにしました。
領土問題と今後の見通し
会合のもう一つの重要な焦点は、ウクライナの領土割譲に関する議論でした。アメリカ政府高官のSNSには、ウクライナの地図を前に話し込むトランプ大統領とゼレンスキー大統領の姿が投稿され、地図には戦況やロシア軍の支配率を示す数字が記載されていました。トランプ大統領は会談後、「1週間か2週間以内に和平か戦闘継続か、プーチン大統領の答えが分かるだろう」と述べ、早期の進展に期待を滲ませました。
会談後、ゼレンスキー大統領は、「トランプ政権と初めてウクライナの兵士たちの血で染まった領土を隅々まで詳細に確認しました。領土については私とプーチン大統領で話し合うべき問題です」と発言し、領土保全に対する揺るぎない姿勢を改めて示しつつ、直接対話の必要性を強調しました。
結論
トランプ大統領のウクライナ和平仲介に向けた積極的な動きは、欧州諸国からの称賛と期待を集めつつも、米軍の派兵を否定するなど独自の外交アプローチを見せています。プーチン大統領との直接対話を重視し、領土問題という根深い課題を抱えながらも、具体的な交渉の場を設けようとする姿勢は、停滞していた和平プロセスに新たな展開をもたらす可能性を秘めています。今後のプーチン大統領の反応と、ゼレンスキー大統領との会談場所の決定が、ウクライナ情勢の行方を左右する重要な鍵となるでしょう。
参考資料
- Yahoo!ニュース (2025年8月20日). 欧州首脳ら会談でトランプ大統領称賛も…トランプ氏は「安全にする」が「派兵しない」. Retrieved from https://news.yahoo.co.jp/articles/78f6e55a093f5306ad7ddc1c395927b417491fe1
- テレビ朝日 (2025年8月20日). グッド!モーニング放送分. (記事内で引用)