昨年10月20日、自民党と日本維新の会はわずか11日間で連立政権合意書を締結し、政界を驚かせました。26年間の公明党との「熟年離婚」に続く「スピード結婚」は、永田町に衝撃を与えました。しかし、「同床異夢」の火種を抱え、「スピード離婚」の可能性も。ジャーナリスト長島重治氏が、その内幕に迫ります。
「熟年離婚」後の急接近:遠藤氏のメールが契機に
新たな連立政権誕生の契機は、公明党が連立離脱を高市早苗・自民党新総裁に通告する前日の10月9日、日本維新の会の遠藤敬国会対策委員長が高市氏に送った何気ないショートメッセージでした。遠藤氏は長年培った広範な与野党人脈、そして公明党・創価学会への独自パイプを活かし、高市氏を案じてメールを送ったのです。
自民党と日本維新の会の連立政権が合意に至った瞬間。日本の政治風景に新たな変化をもたらす重要な局面を示す。
高市氏の「ラブコール」と水面下の交渉劇
遠藤氏のメールから30分後、高市氏から着信がありました。「公明が連立離脱なんてありえんやろ?維新はどうなん?うまくやっていきたい」と、自公連立を前提としつつも維新へ「ラブコール」を送付。翌10日、公明党から正式な離脱通告を受けた高市氏は改めて遠藤氏に電話し、「政策の話をしましょう!」と提案。遠藤氏が「うちの政策が実現できるなら」と応じ、自民・維新の交渉は水面下で急展開しました。
政策提言書に示された本気度
10月11日からの3連休の中日、12日。衆院議員の赤坂宿舎が閑散とする中、高市氏と日本維新の会の藤田文武共同代表が会議室で対面しました。遠藤氏からのメールからわずか3日後のことです。高市氏は維新の政策提言書を抱え、びっしりと付箋やマーキング、赤ボールペンでの書き込みが施されていました。その周到な準備は、自民党側の連立への強い意欲を如実に物語っていました。
わずか11日間で合意した自民・維新連立政権は、日本の政治に変化をもたらしました。しかし、その「スピード結婚」の背景には「同床異夢」という潜在的課題が存在します。迅速な合意の裏で行われた政策調整、そして今後、新政権が直面する試練に引き続き注目が集まります。





