福島パチンコ店2800万円強盗事件:なぜ多額の現金が事務所に?内部事情を徹底解説

8月12日未明、福島県のパチンコ店で発生した2800万円強盗事件は世間に衝撃を与えました。従業員を脅し事務所に押し入り現金を強奪した男2人、さらにはアルバイト従業員も共犯として逮捕されるという展開に。このニュースに接した多くの人が抱く疑問は、「なぜパチンコ店の事務所には、それほどの大金が保管されているのか?」という点でしょう。本稿では、この疑問に対し、関東近郊で10店舗以上を展開するパチンコチェーンの店長S氏への取材に基づき、パチンコ店の現金管理の実態と、事件の背景にある内部事情を解説します。

パチンコ店に2800万円もの大金が存在する理由

閉店後、売上金が集計されるパチンコ店の事務所には一時的に大量の現金が集まります。S氏(関東近郊パチンコチェーン店長)によると、銀行に預けるのはその日の利益分のみで、残りは翌日の営業資金として金庫に保管されます。これは、景品交換に使う「特殊景品」の購入費用や、精算機に入れる「釣銭」として不可欠なためです。特に特殊景品は業者への支払いが原則現金のため、まとまった資金が常に必要となります。

多くのホールが導入する「貯玉システム」も、多額の現金を常備する理由です。客が貯蓄した玉やメダルはいつ大量に交換されるか予測不能で、「景品品切れ」は許されません。そのため、大規模な交換要求にも対応できるよう十分な景品を用意する必要があり、その購入資金として莫大な現金が待機しています。今回襲われた店舗は1000台規模の大型店で、S氏は「3000万円近い大金が事務所に置いてあっても、運営上全く不思議ではない」と解説します。

パチンコ店の事務所に保管される大金と現金管理の様子パチンコ店の事務所に保管される大金と現金管理の様子

パチンコ店狙いの事件に「内部犯行」が多い背景

パチンコ店の事務所に日常的に大量の現金が保管されている事実は、一般にはあまり知られていません。この情報格差こそが、パチンコ店や交換所を狙った犯罪に内部関係者や元従業員が関与するケースが多い背景だとS氏は指摘します。関係者は、現金が最も多くなる時間帯や景品交換所の警備が手薄になるタイミングなど、一般人には知り得ない内部情報を把握しているためです。

今回の福島での強盗事件でも、S氏は当初から「事務所に押し入ったと聞いて、関係者の犯行を疑った」と述べていました。一般人が狙うなら、現金が確実にある景品交換所の方が手っ取り早いと考えるのが自然だからです。実際に事件発生翌日の時点では不明でしたが、8月19日には被害者のふりをしていたアルバイト従業員が共犯として逮捕されました。これは、パチンコ店強盗が内部の情報漏洩や共犯者の関与と深く結びついている典型例と言えます。警察は今後、他に指示役がいる可能性も視野に入れ、捜査を進める方針です。

結論

福島県のパチンコ店強盗事件は、業界特有の現金管理の実態と、内部情報が悪用されるリスクを浮き彫りにしました。パチンコ店は日々の営業に多額の現金を事務所に保管せざるを得ない構造であり、この内部事情を知る者による「内部犯行」の傾向が強いことも判明。今回の事件が示すように、今後パチンコ店には、従業員管理や防犯カメラシステムの強化、さらには内部からの情報漏洩対策を含め、より厳重なセキュリティ対策が求められます。安全な店舗運営と利用客の信頼を守るため、業界全体の取り組みが注目されます。

参考資料