フィリピンで発生した日本人殺害事件において、拘束された容疑者が「約2300万円の報酬で指示された」と供述し、日本在住の日本人とされる首謀者の存在が浮上しました。この計画的な犯行の全容解明に向け、現地当局は捜査を強化しています。
事件の概要と衝撃
この衝撃的な事件は、一瞬の出来事でした。監視カメラが捉えた映像には、白いタクシーがゆっくりと停止し、二人の人物が車を降りた直後、誰かが倒れ、周囲の人々が慌てて逃げ出す様子が映し出されています。わずか約30秒後には、バイクに乗った二人の男が現場を去っていきました。この銃撃事件により、静岡県出身のナカヤマ・アキノブさん(41)と、福岡県出身のサトリ・ヒデアキさん(53)の二人の日本人男性が命を落としました。
フィリピンで発生した日本人殺害事件の現場を捉えた監視カメラ映像。白いタクシーから降りた直後に銃撃され、人々が逃げ惑う様子が映し出されている。
容疑者と首謀者の関係
事件後、フィリピン人のアルバート・マナバット容疑者とアベル・マナバット容疑者の兄弟が拘束されました。弟のアルバート容疑者は銃撃を実行したとみられる人物で、兄のアベル容疑者は亡くなった日本人二人のツアーガイドを務めていたことが判明しています。地元当局の調べに対し、兄のアベル容疑者は「日本人から900万ペソ(約2300万円)の報酬で殺害を指示された」と供述し、事件の背後に首謀者がいることを示唆しました。
フィリピンで日本人殺害事件に関与したとして拘束された、フィリピン人兄弟のアルバート・マナバット容疑者とアベル・マナバット容疑者の顔写真と情報。
アベル容疑者の供述によると、この首謀者は日本に在住する日本人で、兄弟に対し、日本人二人がフィリピンに来る際に「彼らを迎えに行った後で殺害する計画を立てろ」と指示したといいます。地元当局は、首謀者の日本人がフィリピンを訪れた際に運転手としてアベル容疑者を雇っていたことが、両者の関係の始まりだったと説明しています。この関係性が、今回の国際的な犯罪へと発展したとみられています。
計画的な犯行の兆候と捜査の進展
指示を受けたマナバット兄弟は、前金として1万ペソ(日本円で約2万6000円)を受け取っていたことも明らかになっています。さらに、彼らが事前に銃撃場所を下見していた事実も判明しており、綿密な計画に基づいた犯行であった可能性が濃厚です。二人の日本人の行動を事前に調べていたかどうかも、今後の捜査で明らかになるでしょう。
フィリピン当局が発表した日本人殺害事件の捜査資料の一部。逮捕された容疑者の供述から浮かび上がった、日本在住の日本人とされる首謀者からの指示内容が記載されている。
現在、マナバット兄弟の他に少なくとももう一人の容疑者がおり、バイクで現場を去った二人組のうちの一人が現在も逃走中で、その行方は掴めていません。地元当局は、本件が偶発的な事件ではなく、周到に計画された犯行であるとの見方を強めており、事件の全容解明に向けて引き続き捜査を進めています。この国際的な事件の真相究明が待たれます。