現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、人気ロックバンドMrs.GREEN APPLEのボーカル・大森元貴が、視聴者の予想をはるかに上回る好演を見せ、大きな話題を集めています。その演技力は著名な映画監督をも感心させ、業界内外での注目度が急速に高まっているようです。ミュージシャンとして確固たる地位を築いている大森元貴ですが、福山雅治や星野源のように、俳優としてもその才能を開花させる可能性が期待されています。
朝ドラ『あんぱん』での挑戦:実年齢を超えた役柄と自然体な演技
今田美桜が主演を務める『あんぱん』は、「アンパンマン」を生み出した漫画家やなせたかしさんと妻・小松暢さんの半生を描いた物語です。大森元貴が演じるのは、『見上げてごらん夜の星を』や『いい湯だな』など数々のヒット曲を手がけ、『手のひらを太陽に』でやなせさんとタッグを組んだ作曲家いずみたくさんをモデルにした「いせたくや」です。
大森元貴(Mrs.GREEN APPLE)が笑顔でカメラを見つめる姿。朝ドラ『あんぱん』での好演が話題に。
いせたくやは物語の冒頭、18歳の学生として学ラン姿で登場します。実年齢28歳の大森がこの役を演じることには、通常であれば少なからず無理が生じるところですが、彼はそれを全く感じさせない自然体の演技で、物語にすんなりと溶け込んでいました。今春公開された菊池風磨とのW主演映画『#真相をお話しします』でも演技は好評でしたが、ドラマ出演の経験はほとんどありません。演技経験が乏しい新人俳優の場合、力みすぎて不自然になったり、感情移入できずに棒読みになったりしがちですが、大森は“新人俳優”とは思えないほど余裕のある雰囲気を醸し出し、見る者に好印象を与えています。
音楽への情熱を体現:プロミュージシャンとしての説得力
ヒロイン・のぶ(今田美桜)の妹・メイコ(原菜乃華)が「のど自慢」出場を目指すと知ると、いせたくやは練習に付き添いながらピアノの演奏や歌のお手本を披露する場面がありました。トップミュージシャンである大森元貴だからこその説得力があり、音楽への深い情熱が画面を通して伝わってくる名演技として称賛されました。
特に視聴者の心を掴み、大きな話題となったのが、14日に放送された第99話です。劇中でミュージカル制作が進む中、大森がアカペラで『見上げてごらん夜の星を』を歌い上げるシーンが描かれました。約80秒間にわたるその圧巻のステージは、SNSを中心に大きな反響を呼びました。
視聴者とプロが絶賛:SNSの反響と業界からの評価
大森元貴の演技に対する賞賛は、多方面から寄せられています。SNS上では「大森さんの芝居は最初、彼だと気づかないくらいナチュラルでよかった」「やはり感性豊かな『表現者』としての才能は芝居でも生かされるのね。この先も音楽と芝居の二刀流でいけそう」「歌唱シーンはあえてミセス色を消した低音の響きと魅力があって圧倒されました」など、絶賛の嵐となっています。
視聴者だけでなく、プロのクリエイターからも高い評価が聞かれました。実写映画『銀魂』シリーズなどで知られる福田雄一監督は自身のSNSで、「あんぱん。ついにミュージカル製作に突入!」と切り出し、「しかし、大森元貴さんって、コメディ出来るんだなあ」と感嘆の声を上げました。
さらに、制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーは14日付の「MANTANWEB」でのインタビューで、エピソードを明かしています。「ミュージカルシーンの撮影の日に、いずみさんのご親族が見に来られていました。いせたくやを演じている大森さんのシーンを見ていただいたんですけど、それを見て涙を流されていましたね」と語り、親族たちが大森の演技に感動し、「本当に大森さんで良かった」とコメントしたと伝えています。
大森元貴の新たな可能性:福山雅治や星野源に続く「二刀流」の道
今回の『あんぱん』での活躍は、大森元貴のアーティストとしての新たな一面を世に知らしめる結果となりました。その自然体かつ表現力豊かな演技は、ミュージシャンとしての類まれな感性が俳優業にも活かされることを証明しています。
福山雅治や星野源といった、音楽と俳優業の両方で成功を収めている「二刀流」のアーティストは数多く存在します。大森元貴もまた、その系譜に連なる存在として、今後さらに俳優としての評価を高め、音楽活動と並行してドラマや映画の世界でも活躍の場を広げていくことが大いに期待されます。今回の『あんぱん』での好演は、彼のキャリアにおける重要な転機となることでしょう。