ジャーナリストの田原総一朗氏が、BS朝日『激論!クロスファイア』での不適切な発言により激しい批判の的となっている。番組側は次回の放送での謝罪を予定していると発表したが、その対応の甘さに、SNSを中心にさらなる非難が殺到する事態に発展している。
「あんなやつは死んでしまえ」発言の経緯と波紋
問題の発言は10月19日に放送された回で飛び出した。この放送では、自民党の片山さつき氏、立憲民主党の辻元清美氏、社民党の福島瑞穂氏がゲストとして招かれ、政治討論が繰り広げられた。議論の中で、当時首相就任を控えていた自民党の高市早苗総裁(当時)が選択的夫婦別姓制度に否定的な見解を示していることが話題に上った。辻元氏と福島氏が高市氏の政治姿勢を批判する中、田原氏が「あんなやつは死んでしまえ、と言えばいい」と発言。この「あんなやつ」が高市氏を指すものと受け取られ、視聴者の間で大きな波紋を呼んだ。
本棚に囲まれた書斎で思案顔のジャーナリスト田原総一朗氏
田原氏事務所の見解と「田原節」の裏目
この発言に対する田原氏の事務所の見解は、さらに議論を深めることとなった。事務所は、「発言は高市氏への個人攻撃ではなく、野党に対して『もっとしっかり批判しろ』という怒りの意味合いを込めたものであり、言葉遣いが乱暴になってしまった」と弁明している。これは、相手を挑発して本音を引き出すという、いわゆる“田原節”と呼ばれるジャーナリストとしてのスタイルが、今回は裏目に出た形とされている。しかし、その意図が視聴者に正しく伝わらず、誤解を招く結果となった。
事前収録番組における編集責任とBS朝日の対応
今回の問題がさらに深刻視されているのは、番組が生放送ではなく事前収録であった点だ。番組スタッフには、放送前に内容をチェックし、誤解を招く恐れのある発言をカットする機会があったはずだが、それが実行されず、そのまま放送されてしまった。このため、BS朝日側の番組制作体制そのものも問われる事態となっている。
BS朝日は事態を受けて、「田原氏の発言に一部不適切な内容があったため、厳重注意とした」と発表した。さらに、田原氏が次回の放送で謝罪する予定であることも明らかにされた。しかし、番組公式サイトによると、10月26日の放送は休止となり、次回の放送は11月2日になると記載されている。これは、問題発言から謝罪まで、実に2週間の空白期間があることを意味する。
視聴者・SNSからの厳しい批判と「甘すぎる」処分
BS朝日の対応に対し、X(旧Twitter)上では厳しい意見が相次いでいる。「次回の出演があると言うのが甘過ぎる」「クビではないんですね」「謝るだけなら誰でも出来る」といった声が多く寄せられ、その批判は収まる気配を見せていない。
視聴者の間では、「次回の放送で謝罪」という対応が、実質的には田原氏の番組続投を意味すると受け止められており、「ポーズにしか見えない」との不満が噴出。さらに、謝罪までに2週間もの期間が空くこと自体が、対応の遅さや誠意の欠如として批判の対象となっている。大物ジャーナリストとしての影響力を考えれば、発言の責任の取り方、そしてそれに対するメディアの姿勢が改めて問われることとなっている。