グラミー賞を12回受賞したロック界のレジェンド、ジャック・ホワイト氏が、ドナルド・トランプ大統領とホワイトハウス、特に大統領執務室の装飾について強い批判の声を上げました。その発言は、SNSを通じて大きな波紋を呼んでいます。
トランプ氏は8月18日、ロシアによるウクライナ侵攻の終結について話し合うため、ホワイトハウスでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談しました。この会談の写真がInstagramに投稿されると、ホワイト氏は写真に写る大統領執務室が、額縁から置物に至るまで金色の装飾品で溢れていることに注目。トランプ氏が1月に大統領に就任して以来、執務室の金色の装飾は増え続けていると指摘しました。
ジャック・ホワイト氏がInstagramで公表した批判の全容
ホワイト氏は自身のInstagram投稿で、「歴史的なホワイトハウスをトランプがどれほど最悪に変えてしまったか見てほしい。下品で、金箔にまみれ、けばけばしくなってしまった」と嘆き、そのセンスを痛烈に批判しました。「下劣なセンスを見てほしい。この詐欺師から中古車すら買いたいだろうか?ましてや核ミサイルの発射コードなんて与えたらどんなことになるだろう?」と語り、トランプ氏への強い不信感を表明。さらに、「金メッキされたトランプ聖書をあのマントルピースに置き、両脇にトランプの靴を並べたら完璧じゃないか?アメリカの歴史の恥だ」と皮肉り、その行動が米国の歴史に対する侮辱であるとまで言い放ちました。一方で、ホワイト氏は「この写真には、黒いスーツを着た本物の国家リーダーもいる」と付け加え、写真に写るゼレンスキー大統領には敬意を表する姿勢を見せました。
トランプ大統領とジャック・ホワイト氏が並び立つ様子、大統領執務室の金色の装飾を背景に
ホワイトハウスからの反発とジャック・ホワイト氏の再反論
ジャック・ホワイト氏のコメントに対し、ホワイトハウス側は強く反発しています。ホワイトハウス広報部長のスティーブン・チャン氏はデイリービーストに対し、「ジャック・ホワイトは落ちぶれた負け犬だ。キャリアが行き詰まって暇を持て余しているから、SNSにたわごとを書き込んでいるにすぎない」とコメント。チャン氏は、ホワイト氏が「本物のアーティストを装っているだけであり、大統領執務室の壮麗さや重要性を理解できていない、むしろ侮辱している」とまで述べて、批判を一蹴しました。
しかし、チャン氏の発言後もホワイト氏はひるむことなく、20日にはトランプ氏が自身が売り出した金色の靴を手にする写真などをInstagramに投稿。彼は普段から政治的な発言をするわけではないものの、トランプ氏と現政権に対しては「1930年代ドイツのような“沈黙する少数派”の一員にはならない」と宣言しました。「この男は、アメリカだけではなく世界にとって危険な存在だ。それは誇張ではない。民主主義を破壊し、日々地球を危険にさらしている。私たちは皆、そのことを知っている」と警鐘を鳴らし、トランプ氏の存在が持つ危険性を改めて強調しました。
ホワイト氏は投稿の最後に、第26代大統領セオドア・ルーズベルトの言葉「正しかろうが間違っていようが大統領を批判してはいけないとか、何があっても支持すべきだと言うことは、非愛国的で卑屈であるばかりか、アメリカ国民に対する道徳的な裏切りである」を引用し、批判の権利と重要性を訴えました。
ジャック・ホワイト氏は、11月にザ・ホワイト・ストライプスの一員としてメグ・ホワイトとともにロックの殿堂入りする予定です。彼はこれまでも一貫してトランプ氏に批判的な立場を取っており、過去にはトランプ氏を「あからさまなファシスト」「独裁気取り」と呼んだこともあります。また、ザ・ホワイト・ストライプスは2024年9月に、トランプ氏が同バンドのヒット曲「セヴン・ネイション・アーミー」を選挙集会で許可なく使用したとしてトランプ氏を訴えています。この一連の動きは、単なる美意識の問題に留まらず、アメリカ社会における政治的対立と芸術家の役割について、改めて考える機会を提供しています。