毬谷友子、父急逝の経験からSNS中傷に憤り「他者への想像力を」遺族への無神経な要求に警鐘

元宝塚歌劇団の女優、毬谷友子(65歳)が21日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、SNS上で繰り広げられる無神経な言動に対し、強い憤りを表明しました。特に、娘を突然亡くした父親が死因を明かさなかったことに対し、多くの見ず知らずの人々から非難を浴びた一連の騒動に言及。毬谷自身も過去に最愛の父親を急逝で亡くした経験を持つことから、その悲痛な思いを共有し、現代社会における「他者に対する想像力」の欠如に警鐘を鳴らしました。

SNS上の非難と毬谷友子の怒り

現在、X上では、娘の急逝を報告した父親が、その死因を記載しなかったことで激しい批判にさらされ、後に「急性心不全」であったことを改めて謝罪するという異例の事態が物議を醸しています。この状況に対し、毬谷友子は当該の投稿を引用する形で自身の怒りを露わにしました。「世の中が狂っている。最近のSNSは、常軌を逸している。こんな事が現実にあっていいのだろうか?」と問いかけ、全く関係のない第三者が、遺族に対し死因の公開を要求することの異常性を指摘しました。

彼女は、見ず知らずの人が死因を知ったところで何になるのかと疑問を呈し、「娘さんを突然亡くされたこの父親は、その事に関して、こうやって謝罪のツイートを書いていらっしゃる。詫びる事なんか一つもない!!酷過ぎる話しだ!!」と強く非難。悲嘆に暮れる遺族に対してまで、このような不当な攻撃が行われる現状に絶望感を滲ませ、「人間は、他者に対する想像力を、もっと持っていたはずだ。私は、そう信じたい」と、失われつつある共感性への切なる願いを語りました。そして、「心からお嬢様のご冥福を祈ります」と、被害を受けた父親と亡くなった娘への深い哀悼の意を表しました。

父、矢代静一氏の急逝と毬谷の悲痛な経験

毬谷友子は、自身の憤りの背景に、1998年に亡くなった劇作家である父、矢代静一氏の急逝があることを明かしました。父もまた「急性心不全」で突然この世を去ったと言います。彼女は、「ほんの数時間前まで、笑いながら電話で話しをしていた父だった」と当時の状況を振り返り、突然の死がもたらす衝撃の大きさを強調しました。

毬谷友子、父急逝の経験からSNS中傷に憤り「他者への想像力を」遺族への無神経な要求に警鐘

毬谷友子さんのX(旧ツイッター)投稿画面。SNS上の無神経な言動に対し憤りを表明する姿。

「広尾病院の霊安室で父の遺体と対面しても『私、明日撮影があるから目が腫れるから泣けないの。』とだけ言って、全く父の死を受け止めていなかった」と、その時の自身の混乱した精神状態を告白。まるで別の星にいるかのような錯覚に陥るほどの混乱状態であったと語ります。悲しみは時間差で津波のように押し寄せ、「翌日は、じっとしていると涙が汗のように流れ続けるから、誰もいないスタジオの隅っこで上を向いて足踏みをしていた。本当に信じられない位、辛かった」と、心身に刻まれた深い苦痛を生々しく表現しました。この経験から、「『突然の死別』って、本当に全く心の準備が出来ていないから、想像出来ない心理状態に追い込まれるのです」と、突然の別離が遺族にもたらす計り知れない心理的負担について説明しました。

社会への警鐘と遺族への祈り

毬谷友子の今回の発言は、SNSが生活に深く浸透した現代社会において、安易な発言や無責任な攻撃が個人の心にどれほどの傷を与えるかを改めて浮き彫りにしました。特に、人の死という非常にデリケートな問題において、他者への想像力や配慮が著しく欠けている現状に対し、強い警鐘を鳴らすものです。

毬谷は、自身の悲痛な経験を通じて、突然の死別という極限状態にある遺族の心がいかに脆弱であるかを訴え、不当な誹謗中傷から彼らを守る必要性を強調しています。最後に、SNS上で攻撃された父親の心が「少しでも苦しみから逃れられる事」を祈り、改めて社会全体に「他者への想像力」を持つことの重要性を訴えかけました。この呼びかけは、デジタル化が進む社会で人間性が失われつつあることへの、切実なメッセージと言えるでしょう。

参考文献