世界貿易機関(WTO)の紛争処理機能が米国の反対でまひ状態に陥ったことを受け、欧州連合(EU)欧州委員会は12日、WTOの一審に当たる紛争処理小委員会(パネル)で貿易紛争が解決できない場合、WTOの承認を経ずに報復関税や輸入制限といった対抗措置を発動できるようEU法の改正を目指す方針を示した。
EUは米国などと紛争を抱える。法改正にはEU加盟国と欧州議会の承認が必要だが、欧州委は事態の緊急性を考慮し、来年半ばまでに法改正を実施したい考え。
WTOは11日以降、裁判の「最終審」に相当する上級委員会が審議不能になった。パネルに関しては外部から「裁判官」を選任するため審議は可能。
ホーガン欧州委員(通商担当)は12日「われわれはWTOの改革と(上級委の)機能回復を求めるが、(EUの権益が)守られないままでいるわけにはいかない」と述べ、法改正の必要性を強調した。(共同)