海外から日本を訪れた旅行者に「買ったもの」を見せてもらい、その選択の背景や嗜好を探っていく本連載。前編では、パリ在住のユアンユアンさんとセドリックさんに日本旅行で買ったものを見せてもらった。後編では2人が日本を旅する中で感動したこと、驚いたことなどについて聞いていく。
(本記事は後編です。前編「仏では激レアなゲームパッケージ」「藍染ジーンズ」「コーヒー缶」…パリ在住国際カップルが日本旅行で入手した《意外な宝物》を見せてもらった)
■夢にまで見た富士山
前編でも紹介したように、ドラゴンボールやポケモンのアニメを見て育ち任天堂のゲームが大好きなセドリックさん。そんな日本大好きなセドリックさんが、念願叶って訪れた日本でとくに感動したのは富士山だという。
セドリックさんは子供の頃からずっと、アニメなどに登場する富士山を目にしていた。だから、いつか本物を見るのが夢だったのだ。
「でも正直、旅立つ前は少し不安でした。ひょっとしたら僕は、富士山に幻想を抱きすぎているのではないかと……」。その不安は危惧に終わる。
セドリックさんが最初に富士山を目にしたのは、日本に向かう機内からだった。近くに座っていた60代くらいの日本人女性3人組が、眼下に見える小さな富士山を見てキャーキャーはしゃいでいた。それを見て、「本当に日本人にとって特別な山なんだ」と実感したそうだ。
もちろんフランスにも有名な山はある。例えば標高約4810メートルのモンブラン。西ヨーロッパで一番高い山だ。でもアルプス山脈に連なっているため、一見しただけではどれがモンブランなのかがわからない。
ところが富士山は、誰が見ても富士山だとわかる。セドリックさんは、富士山の周りは土地が平らで、山が単体でそびえ立っていることに感動した。「こんな山は今まで見たことがない」そうだ。
2人は間近に富士山を望む河口湖畔に2泊して、景色を堪能した。もちろん移動の新幹線は富士山側の席を取った。2人の出会いは、通っていたフランスの大学のトレッキング部だというから、揃って山好きなのがうかがえる。
■エンドレス「お辞儀のし合い」