パレスチナ自治区ガザ地区では、国連が公式に飢饉を宣言した翌日も、食料を求める市民の絶望的な状況が続いている。イスラエルによる軍事攻勢が拡大する中、ガザ市の炊き出し所では、必死に食べ物を手に入れようと押し合う人々の姿が見られた。食料不足は深刻化し、特に子どもたちへの影響が懸念されている。
ガザ市:絶望的な食料争奪戦
ガザ市から送られてくるAFPの映像には、食料を求めて混乱の中で押し合う数十人の市民が映し出されている。その中には、女性や幼い子どもたちの姿も確認できる。炊き出し所では、少年が調理用の大釜の内側から残り少ない米粒を手でかき集める痛ましい光景が見られた。また別の少女はテントの端に座り、地面に置かれたプラスチック袋から米をすくい取っていた。北部ベイト・ハヌーンから避難してきたユセフ・ハマドさん(58)は、「家も食べ物も収入もなくなった。だから炊き出しに頼るしかないが、それでも空腹は満たされない」と、その苦しい現状を語った。
ガザ市で炊き出しの炊き込みご飯を必死に受け取ろうと押し合うパレスチナの少年たち
国連の飢饉宣言とイスラエルの反応
国連は22日、ガザ地区での飢饉を公式に宣言し、22か月にわたる戦争中にイスラエルが援助を「組織的に妨害」したと厳しく非難した。これに対し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「完全な嘘」と即座に否定する姿勢を示した。このイスラエル政府の否定を受け、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリニ事務局長はX(旧ツイッター)に投稿し、「イスラエル政府はガザで自らが引き起こした飢饉を否定するのをやめるべき時だ」と述べ、国際社会に対し「影響力のある人々は決意と道徳的責任感を持って行動すべきだ」と強く訴えた。ガザ地区中部デイル・エル・バラの炊き出し所では、ウム・モハマドさん(34)が「国連の飢饉宣言はあまりにも遅すぎた」と述べ、子どもたちは「食べ物と水が不足しているため、めまいでふらつき、起き上がることができない」と窮状を訴えている。
広がる飢餓の懸念と続く軍事作戦
急性の飢餓の指標である「IPC」は、飢饉が9月末までにデイル・エル・バラとハンユニスに拡大し、ガザ地区の約3分の2を覆うと予測しており、食料危機はさらに深刻化する恐れがある。一方、イスラエル軍はパレスチナへの爆撃を続けており、AFPの映像ではガザ市ゼイトゥン地区の上空に濃い煙が立ち上る中、人々が建物の残骸を掘り起こしている様子が確認され、軍事作作戦の終結は見えない状況が続いている。国際社会からの支援物資の搬入が不可欠であり、人道支援の確保が喫緊の課題となっている。
ガザ地区の住民は、食料不足、避難生活、そして続く紛争の中で、極めて困難な状況に直面している。
参考文献
- AFPBB News. (2025年8月24日). ガザで飢饉、国連宣言後も食料争奪戦続く. Yahoo!ニュース.
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea2d3caef01c3c892e7f12707b4a07c08ef57d3b