国民的アニメキャラクター「アンパンマン」の誕生秘話を描くNHK連続テレビ小説「あんぱん」で、ついに主人公アンパンマンの原型が登場し、視聴者の間で大きな話題を呼んでいます。漫画家やなせたかしさんと妻・小松暢さんをモデルにした本作は、その物語の核心に迫る展開に多くの期待が寄せられていました。長らく待ち望まれたこの瞬間は、単なるキャラクター登場以上の意味を持ちます。
国民的ヒーロー登場への長い道のり
本作は、「アンパンマン」の生みの親である漫画家やなせたかしさんと、その妻である小松暢さん夫妻をモチーフにしています。ヒロインの朝田のぶを今田美桜さんが、やなせさんをモデルにした柳井嵩を北村匠海さんが演じ、その誕生秘話が描かれると期待されていました。
しかし、物語が進むにつれて視聴者の間では「いつアンパンマンが出てくるのか」というやきもきする声が高まっていました。のぶが様々な仕事に就くなど本筋からの“脱線”が見られ、嵩の漫画制作もなかなか進まない状況が続きました。さらに、8月7日放送の第94話ではわずか5秒で5年後、13日の放送回では7年後と、2週間で12年もの時間が一気にワープする急展開が常態化し、ネット上では戸惑いや不満の声が募っていました。
朝ドラ「あんぱん」主演の今田美桜と北村匠海が笑顔で並び、アンパンマン誕生物語を演じる
「あんぱん」のタイトル回収と制作陣の深い意図
そうした中で、8月22日放送の第105話のエンディングで、ついに嵩が両手にあんぱんを持ち空を飛ぶ小太りのおじさんのイラストを描き上げました。これが現在のアンパンマンの原型であり、のぶは「たまるかー! この太ったおっちゃん、最高やね!」と感激の声を上げました。この待ち望まれた展開に、ネット上では「ここまで長かったな」「やっとアンパンマンの誕生」といった安堵と今後の期待を示す声であふれました。
芸能プロ関係者は、アンパンマン誕生が遅れた理由について「制作陣は“アンパンマン誕生前夜”の苦闘が一番おもしろいと踏んだのでは」と分析します。そこに至るまでの嵩とのぶという夫婦の絆や、脚本家・中園ミホ氏自身が強く望んでいた“戦争”をしっかり描き残すという目的のため、後半は時代を一気に進めざるを得ない展開になったとのことです。
さらにこの回では、アンパンマンの原型が描かれるきっかけとして、少年時代の嵩がヤムおじさん(阿部サダヲ)からあんぱんをもらった記憶を思い出す重要なシーンも描かれました。これはアンパンマン誕生の原体験を示唆しており、番組タイトルの「あんぱん」が回収される形となりました。
ついにアンパンマンの原型が姿を現し、物語は新たな局面を迎えました。来週からは、いよいよ本格的な「アンパンマン」の誕生と活躍が描かれることでしょう。残り1か月となった最終章で、視聴者の期待に応え、これまでの物語の“失速”を取り戻し、感動的なフィナーレを迎えられるのか、今後の展開に注目が集まります。