京都「いけず女将」大西里枝さん35歳で逝去 老舗扇子店社長の訃報

京都の老舗扇子店「大西常商店」四代目社長で、「いけず女将」として親しまれた大西里枝さんが、35歳の若さで24日に逝去されたことが同店より発表されました。伝統文化の魅力を現代に伝え、SNSでも人気を博した彼女の突然の訃報は、各界に衝撃を与えています。

「いけず女将」の活躍とユニークな文化発信

大西さんは、京都人の本音を巧みに表現した「いけずステッカー」でX(旧Twitter)などで注目を集めました。「知っといやすか?蕎麦はズルズル美味しそうに食べてもよろしおすねん。/クチャクチャクチャクチャうるさいねん」というユーモラスな表現は、遠回しに伝える京都のコミュニケーション術を象徴しています。NHKなどのメディア出演も多く、伝統工芸としての扇子だけでなく、京都文化の魅力発信に貢献しました。また、端午の節句に行われる、束ねた菖蒲の葉で邪気を払う「菖蒲打ち」で見せた、はんなりとした着物姿と力強い所作も話題でした。

和傘をさし、京都の通りを歩く着物姿の女性和傘をさし、京都の通りを歩く着物姿の女性

「大西常商店」からの正式な発表

同店のFacebookページでは、「この度は既に一部の方にはお伝えしておりましたが、大西常商店の4代目 代表取締役社長 大西里枝 が逝去いたしました。ここに生前賜りましたご厚情に、心より深く御礼申し上げます」と訃報を報告しました。葬儀告別式は家族の意向により近親者のみで執り行われるとのことですが、後日改めて「お別れの会」を催す予定であることも明らかにされています。詳細は決定次第、改めて案内されます。

最後のSNS投稿と京都市長の追悼メッセージ

大西さんのインスタグラムでの最後の投稿は、8月16日の「五山の送り火」に関するものでした。紺地に白い花柄の浴衣姿で仏壇に供える動画と共に、「京都に受け継がれてきたこの営みは、形だけの伝統ではなく、暮らしに寄り添う祈りのかたち。今年も変わらぬ祈りを重ねながら、この時間を大切に過ごしています」と綴り、京都の伝統と暮らしへの深い愛情と敬意を示していました。

この訃報を受け、松井孝治京都市長も自身のXで「いま、お父上様にご挨拶して、お顔を拝ませていただきました。とても安らかな、うっすら笑みを浮かべられたような、寝顔のようなお顔でした」と故人を偲ぶ言葉を寄せています。

優しく微笑む和服姿の大西里枝氏のポートレート優しく微笑む和服姿の大西里枝氏のポートレート

結び

京都の伝統文化を現代に繋ぎ、多くの人々に愛された「いけず女将」大西里枝さんの突然の訃報は、深い悲しみをもたらしました。35歳という早すぎるご逝去は誠に惜しまれますが、彼女が残した独自の視点と情熱は、今後も京都の文化発信に影響を与え続けるでしょう。

参考資料

本記事は、よろず~ニュースが2025年8月25日に配信した記事(https://news.yahoo.co.jp/articles/d18dd9d687d83ce214d2b455c08eea750c75f0ea)を基に作成されています。