今年も8月15日が巡ってきた。この日は、国のために尊い命を捧げた英霊に感謝し、日本の平和と繁栄を祈る重要な時である。しかし、祈りだけでは平和が保証されない時代であることを、私たちは肝に銘じるべきだ。21世紀に入ってもなお、国防に不備があると見るやためらわず侵略行為に及び、戦争犯罪に手を染める国家が存在することを、ロシアによるウクライナ侵攻が明確に示している。日本を取り巻く国際情勢が厳しさを増す中、日本の安全保障体制の強化は喫緊の課題だ。
核の脅威と自衛の必要性
核兵器の悲劇を訴える声や平和を願う思いは、血に飢えた独裁者には届かない。世界の核保有国は増える一方で、その脅威は常に存在する。北朝鮮や中国のミサイル基地からは、核弾頭搭載ミサイルが日本列島の大都市に照準を合わせ、独裁者の気まぐれ一つで発射される危険がある。この現実を前に、戦争回避の唯一の道は、強力な装備とそれを活用できる人員を誇示し、日本への侵略には多大な代償が伴うことを敵国に理解させることだ。私たちは侵略戦争を放棄するが、自衛のための戦いまで放棄したわけではない。国際情勢の変動でアメリカの信頼性が揺らぐ中、日本一国だけでも自らを守る気概と能力を示すことが不可欠だ。
最新鋭12式ミサイルが拓く新たな防衛戦略
このような背景の中、日本の防衛力を大きく向上させる兵器が注目される。現在、豪州東海岸では、陸上自衛隊による最新鋭12式地対艦誘導弾(ミサイル)の実射訓練が実施中だ。この12式誘導弾の最大の特長は、その圧倒的な射程距離にある。従来の約200kmから「能力向上型」は1000km、将来的には1500km級の「トマホーク」巡航ミサイルに匹敵する性能を目指す。さらに、誘導弾本体はステルス性を備え高速化されているため、敵の迎撃を困難にし、命中率を飛躍的に向上させる。発射機は護衛艦や戦闘機にも搭載が計画され、多様な運用が可能となる。この12式誘導弾能力向上型の配備により、日本は「憲法の呪縛」とされてきた制約から解放され、敵の射程圏外からでも敵艦艇や敵基地を攻撃できる、いわゆる「スタンド・オフ・ミサイル」を保有する。これは、沖縄県や帝都に向けて核ミサイル発射準備に入る北朝鮮や中国の敵基地に対し、先制攻撃を行う能力を持つことを意味する。もちろん、遠距離の脅威への対応は同盟国アメリカに頼るほかないが、近隣の脅威に対しては自らで対応できる道が開かれる。この頼もしい12式地対艦誘導弾の能力向上型は、今年度中に日本の島嶼部などに順次配備される見込みだ。
オーストラリアでの訓練中に発射される陸上自衛隊の最新鋭12式地対艦誘導弾
8月15日を単なる追悼の日とせず、日本の未来の平和と安全を真剣に考える日とすべきだ。国際情勢を踏まえ、自国の防衛能力強化は現実的な選択である。最新鋭12式ミサイルの配備は、日本の防衛戦略の重要な転換点であり、国際社会における日本の抑止力を高める上で不可欠な一歩となる。他国に依存するだけでは安全が保てない時代、日本が自らを守る意志と能力を示すことは、未来の平和を築く最も確実な道だ。
参考資料
[文春オンライン] 日本の安全保障を問い直す「最新鋭12式ミサイル」の“先制攻撃”能力「トマホーク並み」の射程で日本の「ケンポーの呪縛」は解放されるのか?. Yahoo!ニュース. (参照 2023-10-27). (https://news.yahoo.co.jp/articles/6e742fe839bd17d89587095166d3cdefe0b66b68)