静岡県伊東市で初の女性市長となった田久保真紀氏が、就任わずか1か月で学歴詐称疑惑に揺れている。事態は、彼女の経歴として記載されている「東洋大学卒業」に対し、大学側から「除籍」されていた事実が判明したことから始まった。この問題は、市長の信頼性に大きな影を落としている。
疑惑の発端:匿名投書の内容
騒動の発端は、2025年5月上旬に複数の伊東市議に送られた匿名の投書だった。投書には、「東洋大学卒ってなんだ!彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している。こんな嘘つきが市長に選ばれるなんて信じられない!」と記されており、田久保市長の学歴が詐称であると訴えていた。
市の広報誌や市長選時のメディア向け資料には、田久保市長のプロフィールとして『東洋大学法学部 卒業』と明記されていた。この記載が、匿名投書による「除籍」の指摘と食い違っていたことから、市議会で追及を求める動きが生じた。
市長の初期対応と会見へ
当初、田久保市長は匿名投書を「怪文書」と断じた上で、卒業の事実関係については「弁護士に一任している」として明言を避ける姿勢を見せた。しかし、その後「周りに迷惑と心配をかけた」として、疑惑について釈明するための記者会見を開くことを決定した。
会見での衝撃告白:「除籍」の事実
2025年7月2日に開かれた会見で、田久保市長は自ら大学に出向いて卒業証明書の発行を求めた結果、「卒業」は確認できず、「除籍」であったことが判明したと説明した。
田久保市長は会見で、「奇しくも、怪文書の中に書かれていた『除籍』というものと大学側に示していただいた事実関係が合致しておりましたので、その点に関しては、非常に驚いたと同時に、それが偶然なのかどうなのかという部分で、非常に精神的な不安を覚えている状況です」と述べ、匿名投書の指摘が事実と一致したことへの複雑な心境を吐露した。
また、大学を卒業したという経歴を選挙運動中に自ら積極的に公表したわけではないため、公職選挙法上の問題はないとの見解を示した。
残る謎:「卒業証書」「卒業アルバム」提示の不可解
田久保市長の行動の中で、会見での「除籍」告白と矛盾するかのような大きな謎を残しているのが、会見に先立つ6月4日に市議会の議長と副議長に対し、「卒業証書」と「卒業アルバム」を見せたとされる件だ。伊東市議会の青木敬博副議長は当時の状況について、「最初、市長が『これが証書とアルバムです』と言って持って来て、パッと開いて閉じられたから、議長が『いやいやいや』と言って、もう1回パッと開いてまた閉じられた」と証言している。
「除籍」の事実が判明する前に、なぜ、どのような意図で「卒業証書」や「卒業アルバム」と見られるものを議長らに提示したのか。これらの品が本物であるかどうかも含め、この点は依然として不透明なままだ。
まとめ
伊東市の田久保市長を取り巻く学歴詐称疑惑は、「東洋大学を除籍されていた」という自身の告白により新たな局面を迎えた。しかし、会見で示された事実と、それ以前に議長らに見せたとされる不可解な「卒業証書」や「卒業アルバム」の存在との間の矛盾は、依然として解明されていない。この問題が今後の市長の信頼性や市政運営にどのような影響を与えるか、そして市長が更なる説明責任を果たすのかが注目されている。
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