お笑い芸人のお見送り芸人しんいち氏が、テレビ朝日の公式YouTubeチャンネル「動画、はじめてみました」で放った「俺、ちゃんとまだYouTuberとか下に見てんねん」「ネットでのし上がってくる一般人が嫌い」という辛辣な発言が波紋を広げ、エンタメ界における「YouTuberは面白くない」論争に再び火をつけました。2024年4月にフジテレビ系『酒のツマミになる話』での粗品氏(霜降り明星)の発言が発端となった議論が、再び注目を集める形となっています。この発言に対し、レジェンドYouTuberのラファエル氏が冷静かつ的確な反論を展開し、両者の間に新たな火花が散っています。
「ネットで成り上がる一般人が嫌い」お見送り芸人しんいちの辛辣発言
お見送り芸人しんいち氏の「YouTuberを下に見る」というスタンスは、8月21日に配信された「動画、はじめてみました」での対談で明確に語られました。お笑いコンビ「納言」の幸氏と酒を酌み交わす中で、しんいち氏は「昔からテレビが大好きで、とにかくテレビに出たいと思っていた」と自身の芸能界への強い思いを吐露。その上で、「テレビの人と絡むYouTubeとかネット番組とかはええねんけど、全然知らんYouTuberとかネットのインフルエンサーとかと絡む仕事が、もう苦痛で」と、インターネットで活躍するクリエイターたちへの嫌悪感を隠しませんでした。
お見送り芸人しんいちがYouTuberへの嫌悪感を語る様子。ネットとテレビの対立を象徴する一枚。
さらにしんいち氏は、「芸能人みたいに振る舞ってるどっから出てきたかわからんYouTuberとか、どっかから出てきたインフルエンサー」が不倫ニュースなどで話題になることに対し、「誰と誰やねん!」「聞きたないし、お前ら、調子乗んなよと思っちゃう」とまで言い切り、徹底的な拒否反応を示しました。この発言は、テレビを中心とする伝統的な芸能界と、インターネットを主戦場とする新しいクリエイター界の間に横たわる深い溝を浮き彫りにするものでした。
レジェンドYouTuberラファエルが冷静に反論「YouTubeでそれ言っちゃダメ」
お見送り芸人しんいち氏の発言に対し、いち早く反応したのが、YouTuberの草分け的存在であり実業家でもあるラファエル氏でした。ラファエル氏は、しんいち氏とのコラボ共演経験を前置きしつつも、初めて会った時から「あ、こいつ性格悪いな」と感じていたと率直な感想を述べました。芸人へのリスペクトがあるからこそ軽々に言いたくないとしながらも、「芸人さんがYouTuberを上に見る下に見るっていうときには、僕は基準を設けないと結構良くないと思ってて」と自身の持論を展開しました。
その上で、ラファエル氏はしんいち氏の発言の場を厳しく指摘。「これホンマにトドメ刺していいすか? YouTubeチャンネルでそれ言っちゃダメですね。それ、テレビで言わないと」と一刀両断しました。「のこのこテレビ朝日のYouTubeのチャンネル出てきて、そこで、それ言っちゃダメです。アメリカ行って、“アメリカ嫌いなんです”って言ってんのと一緒ですよ」と冷静な口調で、発言の場をわきまえないしんいち氏の姿勢を批判しました。このラファエル氏の指摘は、まさに正論として多くの視聴者やネットユーザーから支持されることとなりました。
ネット上の反応と過去の「YouTuber面白くない論争」の経緯
ラファエル氏の反論に対し、X(旧Twitter)上では共感の声が多数寄せられました。「これはどれだけしんいちが正しいこと言うてても、ラファエルのが正しいわ。一番言うべき所でないとこで言うてもうてるから」「ど正論。あえてYouTubeで言ったとか痛い言い訳をしそうなのがしんいち」「それぞれまったく違う商売なんだから、Youtuberを同じ土俵に見て芸人が批判するのは相当ダサい」といったコメントが並び、ラファエル氏の冷静な分析と論理的な反論が支持されていることが伺えます。
今回の騒動は、2024年4月12日に放送された『酒のツマミになる話』での粗品氏の発言が火付け役となった「YouTuberは面白くない」論争の再燃です。当時、粗品氏に続き千鳥の大悟氏も、息子に見せられたYouTuberの動画に対し「おもんない、こんなもん。笑うな」「こんなもん、パパ(芸人)になれんかったやつらの集まりや」と語り、芸人とYouTuberの「笑かし方の戦い方」の違いを強調しました。これに対し、人気YouTuberのヒカル氏が猛反論するなど、大きな話題を呼びました。
「焦っているから」ラファエルが語る芸人側の本音と新たな提案
ラファエル氏は、今回の議論において「笑い」という観点では「お笑い芸人が当たり前に上、自分たちはアマチュアもアマチュア」と、芸人側の優位性を認めつつも、芸人サイドがYouTuberを下に見る発言をすることの背景を分析しました。ラファエル氏は、「気にしてて焦ってるからっていうふうに我々は思ってますよ」「気にしちゃってるやん」と述べ、芸人たちがネットクリエイターの台頭に危機感を抱いている本音を指摘しました。
さらに、ラファエル氏は「面白い、面白くないという基準でいくなら、ブラインドをして誰が書いたかわからないようにした上でIPPONグランプリをすればいい」と提案。これは、純粋にコンテンツの面白さだけで評価すべきだというYouTuber側の主張を象徴する発言であり、お笑いの世界に新たな評価軸を提示するものでした。お見送り芸人しんいち氏とラファエル氏による今回の応酬は、「YouTuberは面白くない論争」の第2ラウンドとして、エンタメ業界の未来を巡る議論をさらに深めることになりそうです。