トランプ関税、年間5000億ドル超収益か:ベセント米財務長官が予測を大幅上方修正

米国のベセント財務長官は26日、トランプ政権の関税政策が年間で5000億ドルを超える関税収入をもたらす可能性があるとの見通しを発表しました。これは当初の自身の予測を大きく上回るもので、財政赤字削減への期待が高まっています。この発言は、世界経済における米国の貿易政策の動向を示す重要な指標となるでしょう。

関税収入の急増と新たな予測

ベセント財務長官はホワイトハウスの閣議において、年間3000億ドルと見積もっていた自身の関税徴収額予測が「低すぎた」と指摘しました。長官によると、今年の7月から8月にかけて関税収入は大幅に増加し、9月にはさらに大きな伸びが見込まれるとのことです。この勢いが続けば、年間5000億ドルをはるかに超え、将来的には1兆ドルに近づく可能性もあると述べ、政権が財政赤字を大幅に削減できるとの見解を示しました。

ベセント米財務長官、ワシントンで撮影。トランプ政権の関税政策がもたらす関税収入の増加について語る様子。ベセント米財務長官、ワシントンで撮影。トランプ政権の関税政策がもたらす関税収入の増加について語る様子。

財政赤字相殺への期待

関税収入の増加は、今年成立した共和党の減税・歳出法によって拡大が予測される財政赤字を相殺する役割を果たすと期待されています。議会予算局(CBO)は、この法律により今後10年間で米国の財政赤字が3兆4000億ドル拡大すると試算しており、関税収入がその穴埋めとなる可能性が注目されています。これは、トランプ政権が掲げる「財政健全化」の実現に向けた重要な一歩となるかもしれません。

具体的な徴収データとCBOの見解

トランプ政権の関税政策により、今年7月の関税収入は前年同月の70億ドルから210億ドル近くにまで急増しました。これは、6月の増加ペース(200億ドル)とほぼ同水準です。この大幅な増加の背景には、8月7日にほぼ全ての貿易相手国に対して関税率が大幅に引き上げられたことがあります。財務省が25日に発表したデータによると、8月22日時点で、同月に徴収された関税と物品税の合計額が296億ドルに達し、これは7月全体の徴収額と同額となっています。

また、ベセント財務長官は、CBOが先週発表した、トランプ大統領による関税引き上げ措置が向こう10年間で財政赤字を4兆ドル削減する可能性があるという推計にも言及しました。長官は「この数字は今後さらに増加する可能性がある」と述べ、関税収入が予想を上回るペースで財政に貢献するとの自信を覗かせました。

結論

ベセント米財務長官による関税収入の大幅な上方修正予測は、トランプ政権の貿易政策が米国経済、特に財政状況に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにしました。年間5000億ドルを超える関税収入は、共和党の減税・歳出法による財政赤字拡大を相殺し、国の財政健全化に貢献する可能性があります。今後の関税収入の推移と、それが米国の財政および世界経済に与える長期的な影響が注目されます。

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