猛暑を逃れ、都市と自然を両立。千葉・館山で実現する「二拠点生活」の魅力と現実

近年、日本列島を襲う猛暑はもはや「災害」レベルに達し、アスファルトの照り返しや熱帯夜は都市住民の心身を疲弊させています。このような状況下で、都市の喧騒を離れ、自然豊かな場所にもう一つの生活拠点を持つ「二拠点生活(二地域居住)」が現実的な選択肢として注目を集めています。政府も2024年11月には「二地域居住促進法」を施行し、テレワークの普及を背景に、都市住民が地方に生活拠点を持つライフスタイルを後押ししています。ある調査によれば約3割の人が二地域居住に関心を示しており、首都圏に住む20代の約45%が地方移住に関心を持つなど、そのニーズは急増中です。この新しいライフスタイルを模索する人々にとって、首都圏からアクセスが良く、かつ快適に過ごせる場所として、千葉県館山市が大きな魅力を放っています。

首都圏からわずか1時間半!アクセス抜群の館山

房総半島の先端に位置する館山市は、「遠い」というイメージを持たれがちですが、その交通の便は驚くほど優れています。東京湾アクアラインを利用すれば、都心から車で約1時間半という近さです。さらに、新宿、東京駅、羽田空港などからは直通の高速バスが多数運行されており、鉄道の特急列車が定期運行を終えた代わりにバスの便数が増え、むしろ利便性が向上したと評価されています。地元の「たてやま不動産」社長によると、二拠点生活を送る人々の中には、館山で軽自動車などを所有し、南房総市富浦にある道の駅「とみうら枇杷倶楽部」の無料駐車場に車を停めて、そこから高速バスで都内へ向かうのが定番の移動手段となっているようです。この手軽なアクセスが、都市と地方の往来を容易にし、二拠点生活を現実的なものにしています。

「夏は涼しく、冬は暖かい」温暖な気候が最大の魅力

館山市の最大の魅力は、その独特な気候にあります。海洋性の気候に恵まれ、「夏は涼しく、冬は暖かい」という過ごしやすさが特徴です。都心で35℃を超える猛暑日が続くような日でも、館山で猛暑日となることは稀で、夜には心地よい海風が吹き抜けます。昨年まで都内に住んでいたという「みつみね不動産」のスタッフも、「東京にいた頃はどうしようもなかった熱帯夜が、こちらではほとんどありません。マンションの2階以上に住む人は、クーラーを使わずに窓を開けて寝るという人も多い」と語るほどです。

さらに、別名「鏡ヶ浦」と呼ばれる波が穏やかな館山湾に沈む夕日の美しさは格別で、かつて『金曜ロードショー』のオープニング映像にも採用されたほどです。条件が揃えば、富士山の山頂に夕日が沈む「ダイヤモンド富士」を拝むこともできます。豊かな海の幸や山の幸にも恵まれ、都市部では味わえない贅沢な食体験も日々の暮らしを豊かにします。このように、温暖な気候、美しい自然、そして豊かな食は、館山が二拠点生活の「楽園」と呼ばれる所以です。

高騰する物件価格と賢い「お試し」選択肢

館山の魅力に惹かれ、コロナ禍を機に二拠点生活を始める人は大幅に増加しました。それに伴い、物件価格はコロナ前に比べ1.5倍から2倍に高騰しています。都内の不動産業者が参入し値付けが高くなった結果、手直し不要な物件となると、駅周辺で1500万~2000万円ほど、海沿いのリゾート物件では土地だけで坪30万~40万円と、かなり高額になる傾向があります。しかし、「たてやま不動産」社長によると、駅から離れた山手のほうへ目を向ければ、800万円ほどで手に入る中古物件も点在しているとのことです。

とはいえ、数百万円、数千万円という大きな決断をいきなり下すのは難しいと感じるのが正直なところでしょう。そのような人々にとって賢明な選択肢となるのが、まずは賃貸物件で館山の暮らしを試してみることです。前出の「みつみね不動産」スタッフも、「まずは賃貸で館山の暮らしを体験する方は多いですね。そこで納得してから定住も視野に入れて購入を検討するという流れです」と話します。いきなり購入する前に「お試し期間」を設けることで、地元の環境や生活スタイルをよく知り、ミスマッチという失敗を防ぐことができるのです。

二拠点生活は、都市の利便性と地方の豊かな自然を両立させる、現代の新たなライフスタイルとして注目されています。千葉県館山市は、首都圏からの優れたアクセス、年間を通して温暖な気候、息をのむような美しい自然景観、そして新鮮な海の幸・山の幸に恵まれ、この新しい生活様式を実現するための理想的な場所と言えるでしょう。物件価格の高騰という側面はありますが、賃貸による「お試し移住」という賢い選択肢も用意されており、地方暮らしへの関心が高まる中で、都市の喧騒から逃れ、より質の高い生活を求める人々にとって、館山での二拠点生活は魅力的な可能性を秘めています。

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