マクドナルドは2025年8月26日、ハッピーセット関連施策の見直しに関する声明を公開し、一部キャンペーンの実施見送りを発表しました。これは、人気の限定商品が「転売ヤー」の標的となり、店頭での混乱や消費者間の不公平感が深刻化している現状を受けたものです。子どもたちだけでなく、幅広い世代に愛されるハッピーセットですが、今回の決定は多くのファンに落胆をもたらすと同時に、転売問題の根深さを改めて浮き彫りにしています。
ハッピーセットは主に子どもを対象としたメニューですが、近年では人気キャラクターとのコラボレーションが活発で、限定のおもちゃやグッズが大人層からも高い人気を集めています。その結果、発売されるたびに大きな話題となり、多くの消費者がキャンペーンを楽しみにしています。
ハッピーセット、人気の裏で深刻化する「転売」問題
今年8月8日に発売された「ポケモン」のハッピーセットでは、特に9日からの3日間に配布された「ポケモン カードゲーム MEGA」を巡って混乱が発生しました。マクドナルド側は「おひとりさま5セットまで」という購入制限を設けていましたが、SNS上では「購入できなかった」という報告が相次ぎました。また、大量のハッピーセットを購入する「転売ヤー」の目撃情報が多数寄せられ、フリマサイトではこれらの商品が高額で転売される事態が問題視されました。
こうした一連の騒動を受け、マクドナルドは11日に公式声明を発表。「ハッピーセット『ポケモン』ポケモンカードキャンペーンにより、一部のお客様による転売を目的とした大量購入や、それに伴う店頭ならびに店舗周辺での混雑・混乱の発生、またご注文いただいた食品の放置・廃棄といった事象が発生したことを確認しております」と述べ、深く謝罪しました。同社は今後、「購入数のより厳格な制限」や「フリマアプリ運営事業者様との継続的な協議」といった対策を講じる方針を示していました。
マクドナルドのハッピーセットとロゴマーク、キャンペーン見直しの背景
複数のハッピーセットキャンペーンが見送りに:シナモロールも対象
そして26日、マクドナルドは「ハッピーセット関連施策見直しの一環として、8月29日(金)開始を予定しておりましたハッピーセットのキャンペーンの実施を見送ります」と改めて発表しました。これは、既に20日に見送りが発表されていた「ハッピーセット『ワンピースカード』」に加え、「ほんのハッピーセット『シナモロールとあそぼう!』」も一時的に見送りとなることを意味します。ただし、絵本「シナモロールとあそぼう!」については、9月12日に延期する形で提供される予定です。キャンペーン期間中にハッピーセットを購入したユーザーに対しては、過去のキャンペーンで提供されたおもちゃなどが代替品として提供されることになります。
この発表に対し、SNS上では消費者からの落胆の声が多数寄せられました。「一部の転売ヤー達のせいで、善良なハッピーセット大好き民は大変迷惑してます」「ハッピーセット ワンピカードだけでなくシナモロールも延期に…結局、誰もハッピーにならない展開に」といったコメントが相次ぎ、憤りや残念な気持ちが表明されました。また、「子供がハッピーになるセットなんだから、転売ヤーが群がるような金目の価値のあるおまけは、なくしていっても良いかもねぇ」「本当に幼い子供だけが欲しがるおもちゃがあるように思います。前回は購買意欲を煽りすぎている印象も持ちました」といった、今後のハッピーセットのあり方についての提言も多く見られました。
今回のマクドナルドの決定は、単なるキャンペーン延期以上の意味を持ちます。人気商品と転売という現代社会の課題が、子どもたちの笑顔を奪いかねない事態にまで発展していることを示唆しています。企業側が魅力的な商品を提供しようとする一方で、その商品が転売の対象となることで本来のターゲット顧客に届かないというジレンマに直面しています。今後、マクドナルドがどのようにして、すべての顧客にとって「ハッピー」な体験を提供し続けるか、その動向が注目されます。
参考文献
- Yahoo!ニュース. (2025年8月27日). マクドナルド、ハッピーセットの延期予定を発表. https://news.yahoo.co.jp/articles/3e288ea157d6e6ebe5f50453669a91436cc4ac5f