今年7月30日にロシアのカムチャツカ半島付近で発生した地震に伴う津波で、北海道から茨城県沿岸の自治体において、計8万人を超える人々が避難所や指定された場所に避難したことが読売新聞の調査で明らかになりました。しかし、避難指示対象住民数に対する避難者の割合は約1割に留まり、一部の地域では高く評価される一方で、全体的な避難行動には地域差と課題が浮き彫りとなっています。
津波発生から避難指示までの経緯
地震は午前8時25分頃に発生しました。気象庁は当初、太平洋沿岸などに津波注意報を発表しましたが、その後午前9時40分には北海道から和歌山県の注意報を津波警報に切り替え、警戒レベルを引き上げました。総務省消防庁によると、全国21都道県の229市町村で計約201万人に避難指示が出される広範囲な対応となりました。
避難状況調査の結果:地域による差異
今回の調査は、比較的高い津波が観測され、第一波の到達時間も早かった北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城の6道県90市町村を対象に実施されました。自治体が把握した結果、指定された避難所等に避難したのは合計8万1634人。避難指示対象住民数を把握している77市町村に限ると、その比率は9.3%でした。道県別に見ると、岩手県が13.2%と最も高く、次いで北海道11.8%、宮城県8.5%、青森県7.1%、福島県4.6%、茨城県1.5%と、顕著な地域差が確認されました。
気象庁発表のカムチャツカ地震津波に関する警報・注意報図
市町村別では、仙台市が111.9%、北海道釧路市が97.1%、むかわ町が96.2%と高い避難率を示し、観光客や在勤者の避難が避難者数を押し上げた要因とされています。一方で、茨城県鉾田市や日立市では1%未満に留まり、「念のため広範囲に避難指示を出したため、対象住民数が多くなった」との見解が示されました。
指定避難所以外への分散避難と今後の防災課題
今回の津波では、多くの住民が自治体指定の避難所以外の場所、例えば高台、公園、商業施設、親戚宅など安全な場所へ自主的に移動したとみられています。日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授(寒冷地防災学)は、北海道内の避難状況を分析し、「住民の3割は避難行動を取っていたとみられ、避難所以外に分散した傾向がうかがえた」と指摘。これにより、「自治体にとっては、配慮が必要な住民の避難先をどう把握し、支援するかが課題となる」と述べ、今後の災害対策における新たな課題を提起しています。
今回のカムチャツカ地震津波による避難状況は、日本の防災体制における住民の避難行動の多様性、そして地方自治体が抱える避難者把握と支援の難しさを改めて浮き彫りにしました。より効果的な津波避難を促すためには、地域の実情に応じたきめ細やかな情報提供と、多様な避難行動を考慮した支援体制の構築が喫緊の課題と言えるでしょう。
参考文献:
- 読売新聞オンライン: ロシア・カムチャツカ半島沖地震の津波、北海道~茨城で避難者8万人超…「念のため」で広範囲指示も (https://news.yahoo.co.jp/articles/147db4011d85c4d71648f4e57374a2447641b90a)