中国映画『南京写真館』が興収トップ独走、南京事件描く作品が呼ぶ深い感情と議論

【AFP=時事】1937年に起きた「南京事件」(南京大虐殺)を題材にした中国映画『南京写真館』(南京照相館、Dead To Rights)が、7月25日の公開以来、中国国内の興行収入で首位を独走しています。この作品は、その衝撃的な描写と豪華なスターキャストで、観客の間に強い波紋を広げています。

『南京写真館』は、旧日本軍が6週間にわたり大量虐殺、レイプ、略奪を行ったとされる、当時の中国の首都南京を舞台にしています。この歴史的出来事では、数十万とはいかずとも数万人もの命が失われたとされています。他の南京事件を扱った映画と同様、本作も当時の残虐行為を容赦なく描写していますが、観客はそうした表現を避けることなく受け入れています。

「南京事件」を主題とした衝撃的な描写と大衆の熱狂

上海にある映画の撮影所は現在一般公開されており、先日AFPが訪れた際には、多くの熱心なファン、特に幼い子どもたちであふれかえっていました。爆撃によって破壊された建物からは、第二次世界大戦中の中華民国最高指導者、蒋介石を描いた巨大な壁画が見下ろす中、機関銃の音が鳴り響いていました。次々と押し寄せる人々は、自撮り写真を撮ったり、興奮した様子でライブ配信を行ったりしていました。

南京事件を描いた中国映画『南京写真館』の上海撮影セットに置かれたゲストノート南京事件を描いた中国映画『南京写真館』の上海撮影セットに置かれたゲストノート

この映画は、娯楽としての側面を持ちながらも、観客の心に深い感情を呼び起こしました。多くの訪問者が、歴史への強い思いを語っています。

撮影現場で語られる「日本への思い」と歴史の記憶

「He」という名字の女性は、日本に対する感情について、「深い心の痛み、根深い憎しみを覚える」と語り、「将来何が起ころうとも、歴史を心から消し去ることはできない」と強調しました。また、ある男性は、この映画を観た5歳の息子を連れて、約2000キロメートル離れた寧夏回族自治区北部から撮影所を訪れたと話しました。

別の幼い少年は、焼け焦げたがれきと割れたガラスの山の上で、中国国旗を掲げ、勝利を祝うかのようなポーズを取っていました。彼の両親は、夏の青空を背景に息子の姿を写真に収めていました。こうした光景は、映画が中国社会に与える影響の大きさを示しています。

論争を呼ぶ表現:反日感情を煽る意図か

『南京写真館』の物語は、写真館に隠れた南京市民たちが、旧日本軍による戦争犯罪の「記念品」となる写真を現像させられるというものです。香港の英字日刊紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、この映画を「雷のような迫力」と高く評価する一方で、一部の暴力シーンについては、「まるで反日感情をあおるために仕組まれたかのようだ」とも評しています。この評価は、歴史を題材とした作品における表現のあり方について、さらなる議論を提起しています。

『南京写真館』の成功は、単なる興行収入の数字だけでなく、中国の人々が歴史とどのように向き合い、それを次世代に伝えるかという深い問いを投げかけています。

参考文献