今月13日、東京港で密売価格約52億円相当の乾燥大麻約1トン余りが密輸された事件で、ベトナム人3人が逮捕されました。この事件は、技能実習生として来日しながらも職場から逃亡し、日本の「闇」の中で生活するようになったベトナム人、通称「ボドイ」(ベトナム語で「兵士」の意)が関与する犯罪の巧妙化と大規模化を改めて浮き彫りにしています。ルポライターの安田峰俊氏の報告から、こうした外国人犯罪の現状と日本社会への影響を深く掘り下げます。
巧妙化する外国人犯罪の実態:多岐にわたる手口
「ボドイ」と呼ばれる外国人グループは、近年、中国や東南アジア諸国の「悪人たち」とネットワークを構築し、その犯罪行為は窃盗から薬物密輸まで、手口の巧妙さと被害の規模を拡大させています。
約52億円相当の大麻密輸事件:技能実習生の闇
先述の東京港での大麻密輸事件は、日本の水際対策の脆弱性と、外国人犯罪組織の大胆な犯行を示すものです。約1トンという量は、これまでの摘発例の中でも突出しており、背後にある国際的な薬物密輸ルートの存在を強く示唆しています。技能実習制度の影で、一部の外国人が犯罪に手を染める実態は、日本の社会構造が抱える課題の一つとも言えるでしょう。
密売価格約52億円相当の乾燥大麻約1トン。ベトナム人容疑者が逮捕された薬物密輸事件。
日本社会を揺るがす銅線窃盗の猛威
薬物密輸のほか、近年の日本で特に深刻な社会問題となっているのが「銅線窃盗」です。電力供給や通信回線など、日常生活に不可欠なインフラを狙った犯行が後を絶ちません。銅価格の高騰とともに、盗難件数と被害額は急増しており、日本各地の地方社会を震撼させています。
銅線盗難の深刻化と経済的影響
具体的な被害事例は枚挙にいとまがありません。滋賀県近江八幡市のマンション建築現場では銅線7.5km(約100万円相当)が盗まれ、福岡県では複数の農園で同様の被害が発生しました。さらに、神奈川、茨城、長野、福島などの各県では、野球場のナイター設備から銅線ケーブルが相次いで盗まれ、高校野球地方大会への影響が懸念される事態に発展しました。昨年9月には群馬県嬬恋村の万座温泉スキー場で300万円以上相当の銅線が盗まれ、リフト5機のうち4機が稼働不能となり、冬季営業の大幅縮小を余儀なくされています。
特に被害が甚大なのが太陽光パネル施設です。警察庁の調査によると、昨年の全国の太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗の認知件数は7054件に上り、前年から1693件も増加しました。相次ぐ窃盗事件は保険会社の保険金支払額を急増させ、結果として保険料が高騰。これが事業者の収益を圧迫し、日本の太陽光パネル産業全体が大きな岐路に立たされています。
外国人犯罪グループの関与
摘発例を見る限り、銅線窃盗は外国人犯罪者によるものが目立っています。今年7月には神奈川県川崎市の工事現場で銅線約2.9トン(約350万円相当)を盗んだ容疑でベトナム人の若者2人が摘発され、彼らのグループは関東を中心に6都県で約50件の銅線窃盗に関与した可能性が指摘されています。また、今年6月には太陽光パネル施設の銅線窃盗容疑(被害総額1.2億円相当)でカンボジア人が逮捕され、昨年6月にも銅線3トン(約539万円相当)の窃盗でカンボジア人とベトナム人が摘発されるなど、外国人犯罪グループによる組織的な犯行が多発しています。
外国人犯罪組織が利用する千葉県内のヤード。盗難銅線の集積・換金拠点。
深刻化する外国人犯罪への対策
「ボドイ」と呼ばれるグループによる大麻密輸や銅線窃盗などの外国人犯罪は、日本の治安と経済に深刻な影響を及ぼしています。これらの犯罪は、単なる個人による犯行ではなく、国際的なネットワークや巧妙な手口を伴う組織的なものであることが示唆されています。技能実習制度の見直し、国境管理の強化、そして地域社会での監視体制の強化など、多角的なアプローチによる対策が喫緊の課題となっています。日本社会が直面するこの問題に対し、より実効性のある対応が求められます。
参考文献
- Yahoo!ニュース (2025年8月30日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1da9dcc25a9a31570ec5edb6e3e5344488cf5f75