アクティブ投資信託は本当に「買う価値なし」?新NISA時代の誤解を解く

新NISAがスタートして以来、「オルカン」や「S&P500」といったインデックス投資信託の人気が急上昇しています。その一方で、アクティブ投資信託に対しては「コストが高い」という理由から、拒絶反応を示す投資家が多く見られます。しかし、この認識には大きな誤解が含まれている可能性があり、アクティブファンドの真価を見極めるためには、冷静な検証が必要です。本当にアクティブ投資信託は購入する価値がないのでしょうか?

投資信託の成績はコスト「差し引き済み」:高コストでも好成績なら価値あり

投資信託は大きく分けて「インデックス型」と「アクティブ型」の二種類があります。特にアクティブ型に対しては、「コスト(信託報酬)が高いから買う価値がない」という声が根強く聞かれますが、この一面的な捉え方はアクティブ投資信託のメリットを見落とすことにつながりかねません。まずは両者の基本的な違いと、成績評価の仕組みを理解することが重要です。

インデックス投資信託は、特定の「指数」(インデックス)に連動した成績を目指す運用を行います。例えば、NISAで特に人気の高い「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などがこれに該当します。オルカンであれば、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」という指数に準じて運用されるため、機械的な運用が可能となり、信託報酬などのコストが安く、その成績は市場平均(指数)に準じます。

対してアクティブ型は、運用会社が独自の調査に基づき、個別の投資対象(銘柄)を選定してポートフォリオを構築します。このため、調査や分析に手間がかかることから、インデックス投信に比べてコストが高くなる傾向にあります。しかし、「高コスト」という一点だけでアクティブ投資信託を全面的に否定するのは性急な判断と言えるでしょう。

確かにコストは運用成績に影響を与えますが、投資信託の成績(騰落率)として表示される数字は、信託報酬などの各種コストが「差し引かれた後」のものです。つまり、多少コストが高くても、それを補って余りある好成績を上げていれば、投資する価値は十分にあります。アクティブ投資信託の多くは、この高コストと引き換えに、指数を上回るリターンを目指しています。もし指数に勝てないのであれば、安価なインデックス投資信託を選ぶべきだという考え方は理にかなっています。

新NISAでの投資判断を思案するイメージ新NISAでの投資判断を思案するイメージ

指数を上回るアクティブ投資信託は実在するのか?日本株ファンドで検証

では、実際に指数を上回る成績を出し続けているアクティブ投資信託は存在するのでしょうか。身近な例として、日本株型の投資信託で検証してみましょう。日本株の代表的な指数であるTOPIXと、それに連動するインデックス投信、そしてアクティブ投資信託の1年、3年、5年の成績を比較しました。この比較においても、すでに「高い」と指摘される信託報酬などの手数料は差し引かれた後の成績が用いられています。

5年以上の運用実績を持つ259本の日本株型アクティブ投資信託*のうち、1年、3年、5年のすべての期間でTOPIXを上回る成績を収めたのは70本に上りました。さらに、このうち45本は10年間の成績で見てもTOPIXを凌駕しています。特に新NISAで購入可能なアクティブ投資信託の中から、5年間の上昇率トップ3は以下の通りです。

*中小型株型を除く日本株全般に投資する投資信託。レバレッジ型など特殊な運用内容のもの、DC専用、ラップ専用等も除く。

  • 「ダイワ金融新時代ファンド」:銀行などの金融関連企業に特化して投資。
  • 「四季の便り」:高配当株に焦点を当てた運用。
  • 「初(はじめ)くん」:成長性の高い企業を重視する運用方針。

市場環境によって成績上位の顔ぶれは変動しますが、「指数に勝ち続けている」アクティブ投資信託が現実には存在することがわかります。

アクティブ投資信託の真の課題:「選ぶのが難しい」という点

一方で、259本のアクティブ投資信託のうち、1年、3年、5年のすべてでTOPIXを下回ってしまったファンドも77本存在しました。これがアクティブファンドが敬遠されるもう一つの大きな理由かもしれません。アクティブ投資信託の成績は、その運用方針や指揮を執るファンドマネージャーの力量に大きく左右されるため、結果として成績に大きな差が生まれます。当たり外れが大きいことから、「良い投信」を見極めるための選球眼が求められます。現在の好成績も、市場環境の変化やファンドマネージャーの交代によって急落し、そのまま低迷する可能性もあるため、購入後もその動向を継続的にウォッチし続ける必要があります。

つまり、アクティブ投資信託の本当の難点は「コストが高い」ことではなく、「コストに見合った好成績の投信を“選ぶのが難しい”」ことにあるのです。裏を返せば、しっかりと見極めることができれば、市場平均を大きく上回る利益を狙える可能性があるのが、アクティブ投資信託の最大の魅力と言えます。「高コスト」という理由だけで全てを否定してしまうのは、大きな機会損失につながりかねません。

これに対し、インデックス投資信託は、連動する指数が同じであれば運用内容はほぼ同一となるため、成績に差がつくのは主にコストだけです。そのため、指数と信託報酬だけを比較すれば良いというシンプルさがあります。投資初心者の方や、運用に手間をかけたくない方、あるいは市場平均並みの成績で十分と考える方にとっては、インデックス投資信託だけでも十分な選択肢となるでしょう。


参考文献