新型コロナウイルスワクチンの接種後に体調不良を訴える人々が増える中、国の健康被害救済制度の申請手続きや認定基準が、患者にとって大きな障壁となっている現状が浮き彫りになっています。特に、複雑な手続きと高額な医療費負担が、苦しむ患者をさらに追い詰める形となっています。本記事では、関西に住む50代の女性の事例を通して、ワクチン後遺症に悩む人々が直面する厳しい現実と、現行制度の問題点を探ります。
長引くワクチン後遺症、教諭を襲った体調不良
関西在住の50代の女性は、新型コロナワクチン接種後、激しいめまいや慢性的な倦怠感に襲われました。かつて高校教諭として教壇に立っていましたが、この体調不良により休職を余儀なくされ、自宅で寝たきりの生活を送るように。食事の準備や洗濯も困難になり、トイレにすら這って行くほどの状態でした。彼女は「元の体に戻りたい」という切実な願いを抱えながら、様々な治療法を模索し続けています。しかし、症状が少し改善したかに見えても、国の救済制度が新たな苦悩をもたらすことになります。
複雑な申請手続きと高額な診断書費用が負担に
予防接種による健康被害に対し、医療費などが支給される国の救済制度が存在します。しかし、その申請プロセスは患者にとって多大な負担を強いるものです。申請には、1通あたり3,000円から1万円もする診断書を医療機関ごとに用意する必要があり、これらを集めるだけでも膨大な時間と費用がかかります。この50代女性の場合も、実際に訪れた病院は40軒近くに上りましたが、診断書費用の捻出と書類収集の労力から、最終的に24軒分の書類提出にとどまりました。これらの費用は、病状により収入が途絶えている患者にとっては、計り知れない重荷となります。
国の認定は「めまい」のみ、障害年金も否認
申請から結果が出るまでには約1年半もの期間を要しました。しかし、最終的に国から認定されたのは、数ある症状のうち「めまい」のみでした。女性は仕事復帰を強く望み、保険適用外の様々な治療や薬も試しましたが、それらの費用は救済制度の対象外とされ、全て自己負担です。さらに、慢性的な倦怠感などの症状が続くため障害年金を申請したものの、これも「症状が固定していない」「主治医のカルテの信頼性が低い」との理由で否認されてしまいました。大阪府庁を訪れて、この不支給決定処分について異議を訴える以外に道はありませんでした。
大阪府庁を訪れ、新型コロナワクチン後遺症の健康被害救済制度に対し異議を訴える人々
自治体と国の判断の相違、患者が直面する壁
この女性の事例では、地元自治体は彼女の症状を「認定に値する」と判断していました。しかし、国は「女性がある程度歩けるようになり、症状が固定していない」として、障害年金の申請を認めなかったのです。女性はほとんど寝たきりの状態でしたが、主治医から「たまに調子の良い時は少し外に出て散歩しなさい」と指導され、壁を伝ったり、車椅子や杖を使ったりしながら、マンションの1階まで降りて周囲を歩くことはあったと証言しています。しかし、国はその一時的な活動能力をもって「症状が固定していない」と判断し、患者の置かれた状況や主治医の診断の意図を十分に考慮していないことがうかがえます。
結論
新型コロナワクチン後遺症に苦しむ患者たちは、単に病状と闘うだけでなく、国の健康被害救済制度や障害年金制度といった行政の壁にも直面しています。複雑で高額な手続き、認定基準の厳しさ、そして国と自治体の判断の相違は、患者の心身、経済状況にさらなる負担を強いています。政府には、患者の声に真摯に耳を傾け、より迅速かつ実情に即した救済策の検討と、透明性のある認定プロセスの確立が求められます。
参考文献