グレタ・トゥンベリ氏、ガザ支援船団参加で国際法順守の政府責任を強調

スウェーデンの著名な環境活動家グレタ・トゥンベリ氏は30日、スペイン・バルセロナでAFPの取材に応じ、各国政府が国際法を順守していれば、人道支援物資を積んだ船団がパレスチナ自治区ガザに向かう必要は本来ないとの見解を表明しました。現在バルセロナで準備が進められている新たなガザ行き船団に参加予定のトゥンベリ氏は、「このような活動が存在しなければならないこと自体が問題だ」と語り、国際社会における政府の役割について強く疑問を投げかけました。

ガザへの人道支援、政府の責任を強調

トゥンベリ氏は、各国政府や選出された公職者が、国際法を尊重し、戦争犯罪やジェノサイドを防ぐために行動する法的義務があると強調しました。彼女は、「それが彼らの法的義務だ。しかし、果たされていない。その結果、パレスチナ人だけでなく人類全体を裏切っている」と述べ、現状を厳しく批判しました。この発言は、ガザ地区の深刻な人道危機に対し、国際社会、特に各国の指導者がより積極的に介入すべきだという強いメッセージとなっています。

バルセロナでのAFPインタビューに応じるグレタ・トゥンベリさん。ガザ人道支援船団への参加を控えるバルセロナでのAFPインタビューに応じるグレタ・トゥンベリさん。ガザ人道支援船団への参加を控える

「グローバル・スムード船団」の目的と過去の試み

今回トゥンベリ氏が参加する新たな船団は、「グローバル・スムード船団」と呼ばれる独立組織によって計画されています。同組織は、世界各地の港からガザへ船を集結させ、人道回廊を開設するための平和的な試みであると説明しています。トゥンベリ氏は船団の目的について、「ガザに到達し、人道援助を届けること。人道回廊の開設を宣言し、さらに多くの援助を持ち込む。そして、イスラエルによる違法で非人道的なガザ封鎖を終わらせることだ」と具体的に語りました。活動家たちは過去にも、今年6月と7月に支援物資を届けるためガザへ船で向かいましたが、いずれもイスラエル軍に阻止されました。イスラエル軍はこれらの船に乗り込み、活動家を拘束後に国外追放しており、トゥンベリ氏も6月の船団に参加していました。今回の船団は31日に出発する予定ですが、正確な時刻やバルセロナから出航する船の数については明らかにされていません。

国連とイスラエルの見解の相違

ガザ情勢を巡っては、国連が今月、ガザ地区で飢きんを宣言し、イスラエルによる「体系的な妨害」が援助の阻害要因だと強く非難しました。これに対し、イスラエル当局は国連の非難を強く否定しており、国際社会の意見は依然として二分されています。このような状況下での「グローバル・スムード船団」の活動は、国際社会に対しガザの現状への注目と、より実効性のある行動を促すものとして、その動向が注目されています。

結び

グレタ・トゥンベリ氏のガザ人道支援船団への参加と、各国政府への国際法順守の呼びかけは、ガザ地区の深刻な人道危機に対する国際社会の関心を高めるものです。政府の法的義務の不履行を厳しく指摘し、人道支援の必要性を訴える彼女の活動は、世界中の人々にガザの状況と、そこに暮らす人々の苦しみに目を向けるよう促しています。今後の船団の進展と、それがガザにもたらす影響が注視されます。