NHK大河ドラマ「べらぼう」が最終版に入った。序盤こそ盛り上がったが、話が進むにつれ話題になることは減っていった。歴史評論家の香原斗志さんは「大河ドラマの主人公として蔦重は決定的な弱点を持っている。歌麿を主役に据えた方が、作品としては盛り上がっただろう」という――。
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■蔦重は大河ドラマの主人公にふさわしかったのか
NHK大河ドラマ「べらぼう」の視聴率が8〜9%台で低迷し、年間を通しての平均が大河史上ワースト3に入るのは確実だという。もっとも、リアルタイムでテレビを視聴する人が以前にくらべて減少したいま、視聴率だけで番組の人気を測るべきではないが、ドラマの出来を考えれば、もう少し高い数字が上がってもいいように思う。
視聴率が低い原因としては、大河ドラマの視聴者が求める戦闘場面がないこと、あまりポピュラーではない時代が描かれていることなどが指摘されている。吉原が主な舞台だった前半に、男女の営みなど子供に見せにくい場面が描かれ、視聴者が引いてしまったのではないか、という声もある。
だが、最大の原因は、主人公の蔦重こと蔦屋重三郎という人物に、視聴者がいまひとつ惹かれないことにあるのではないだろうか。念のために断っておけば、蔦重を演じている横浜流星が悪いのではない。あくまでも、歴史上の人物である蔦重に感情移入しにくい、という意味である。
一般視聴者にとっては無名に等しかった蔦重が、大河ドラマの主人公として相応しかったのだろうか。無名であっても、知れば知るほど魅力が感じられる人物なら、主人公は務まるだろう。しかし、後述するように、蔦重は立場的にも応援団がつきにくい。
だったらいっそのこと、喜多川歌麿(染谷将太)を主人公にしたほうがよかったのではないだろうか。ドラマの内容はほとんど変えずに、「べらぼう〜歌麿栄華乃夢噺〜」としたほうが、視聴者の共感は得られたのではないか、とさえ思えてくる。






