タレントの山田雅人さんが、46歳にして東京大学受験という壮大な挑戦に挑みました。かつて「勉強が大嫌い」と公言していた彼が、なぜ難関大学を目指すことになったのでしょうか。そして、その経験が彼の人生にどのような変革をもたらしたのか、その軌跡を追います。この物語は、学びの持つ無限の可能性と、年齢を重ねても新たな挑戦ができることの証となるでしょう。
46歳からの東大受験:まさかの挑戦とその原点
山田雅人さんは、若い頃から「これからの人生、好きなことしかしない!」と決め、芸能界へと足を踏み入れました。そのため、学生時代はまさに「勉強大嫌い」の生徒だったと振り返ります。そんな彼に転機が訪れたのは2006年、テレビ番組の企画で東大受験の話が持ち上がった46歳の時でした。当初は「今さら勉強なんて」と固辞するつもりだった山田さんを、妻の一言が動かします。「人生で一度くらい、嫌いなものに本気で向き合ってみたらどう?好きなこと、得意なことだけやっていたら、知識も偏ってしまうわよ」。この言葉に深く納得した山田さんは、東大受験への挑戦を決意します。
山田雅人さんが勉強に使用した英単語帳
しかし、その道のりは想像以上に困難でした。初めて受けた模試では、900点満点中わずか2点という絶望的な結果に直面。特に英語の長文読解では、知っている単語がほとんどなく、「じんましんが出るかと思うほど」に頭が受け付けなかったと言います。四択問題でさえ、正解を一つ選ぶべきところを二つ選んでしまうなど、基礎的な学習習慣すらままならない状態でした。この厳しい現実に、彼は「なぜ引き受けてしまったのか」と後悔の念に駆られました。
転機となった「学びの楽しさ」:東大生家庭教師の影響
絶望的な状況からの山田さんを救ったのは、彼についてくれた現役東大生の家庭教師でした。その先生は、東大のことも、大学教授のことも、そして勉強そのものについても、決して悪く言わない「とても素敵な人」だったと山田さんは語ります。通常、学校生活には多かれ少なかれ不満がつきものですが、その先生からは一切ネガティブな言葉が聞かれなかったのです。山田さんは、その姿勢から「この人が通う東大は、きっと素晴らしい大学なのだろう」と感じ、次第に「自分も入学したい」という憧れを抱くようになりました。
仕事との両立を図りながらの学習は容易ではありませんでしたが、山田さんは朝5時に起床し、8時までの3時間を勉強に充てることを日課としました。さらに、移動中の電車内など、あらゆる隙間時間を活用し、着実に学習を進めていきました。若き東大生からの学びと自身の努力が、かつて「勉強嫌い」だった山田さんの学習に対するモチベーションを大きく変化させたのです。
山田雅人さんの東大受験への挑戦は、単なる芸能人の企画にとどまらず、多くの人々に「学び直し」の重要性と「自己成長」の喜びを教えてくれます。年齢や過去の経験に関わらず、情熱を持って取り組めば、人生は何度でも豊かになるというメッセージが、彼の姿から強く伝わってきます。彼の物語は、私たちにとって、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるでしょう。