麻生氏、石破首相の続投姿勢を厳しく批判:永田町に広がる政権運営の危機感

参院選後、自民党内で波紋が広がっています。特に焦点となっているのは、石破茂首相の続投を巡る動きです。首相経験者との面会を経てなお続投の意思を示し続ける石破氏に対し、自民党の麻生太郎最高顧問が極めて厳しい態度で臨んでいることが明らかになりました。この状況は、永田町の政界関係者や国民の間で、今後の政権運営に対する深刻な懸念を呼び起こしています。

自民党最高顧問の麻生太郎氏自民党最高顧問の麻生太郎氏

麻生氏が石破首相の続投姿勢に異論を唱える理由

政治部デスクによれば、麻生氏は石破首相の続投への意欲を「かなり厳しい言葉で批判している」といいます。永田町では「首相の判断は何よりも重い」という原則が広く認識されており、例えば安倍政権下で消費増税延期が議論された際、麻生氏自身も安倍氏の判断を尊重し閣内に留まった経緯があります。しかし、今回の石破氏の続投姿勢に対しては、麻生氏は明確に異なる見解を示しているようです。

麻生氏の側近からは、「石破氏の続投を容認することは、現政権を信任することに他ならない。総裁選前倒しを支持しないということは、石破氏のまま解散総選挙を戦うことを受け入れるに等しい。石破政権が続けば、あらゆる事態が行き詰まるだろう」といった発言が漏れているとされます。これは、野党からの協力が得られず政権運営が停滞し、参院選後に一時的に上昇している内閣支持率もやがて右肩下がりになるという強い懸念の表れと見て取れます。

「選挙の顔」の期待と過去の政権運営の教訓

石破氏が昨年9月の総裁選を勝ち抜いた背景には、「選挙の顔」としての強い期待がありました。2008年9月に発足した麻生内閣も同様に、当時の麻生氏に「総選挙での勝利」を望む声が大きかったことを思い出させます。しかし、世界的な金融危機への対応に追われる中で麻生内閣の支持率は急落し、20%を下回ることも珍しくなくなり、最終的には「麻生おろし」へとつながりました。当時も麻生氏では衆院選を戦えないとの声が上がり、「総裁選前倒し」を目指す動きが公然と展開されました。結果的に2009年7月に衆院は解散され、その総選挙で自公は惨敗し、政権交代が実現するに至ったのです。

この歴史的な教訓を踏まえれば、麻生氏の石破首相に対する厳しい見解は、単なる個人的な批判に留まらず、党と政権の未来を見据えた危機感に基づいていると言えるでしょう。今後の石破政権の動向、そして自民党内の権力闘争がどのように展開していくのか、永田町の動きから目が離せません。

参考文献: