元首相の石破茂氏が、11月6日放送のラジオ番組『大竹まこと ゴールデンラジオ!』(文化放送)に生出演し、首相退任後の率直な心境と、自民党が参議院選挙で大敗した理由について自身の見解を明かしました。彼の発言は、国民の間で物議を醸しており、その真意と世論との間に生じたギャップが注目されています。
激動の石破政権と退任後の「解放感」
石破氏は2024年9月に自民党総裁に選出され、翌10月1日に第102代首相に就任しました。しかし、政権発足後も支持率は伸び悩み、同年10月の衆院選、翌年6月の東京都議選、そして7月の参院選で歴史的な大敗を喫し、与党は参議院で過半数を割り込みました。党内での「石破おろし」の動きが加速する中、彼は9月に総裁辞任を表明。翌10月には内閣総辞職し、石破政権は386日でその幕を閉じました。
番組でMCの大竹まことから声をかけられた石破氏は、「人生いろいろです」と穏やかに応じました。退任後の生活について問われると、「朝起きるのがこんなにうれしいとは思わなかったね」としみじみコメント。首相時代は午前4時半起床で、膨大な答弁書を読み込み、消化するのに苦労していたと振り返り、「読むと伝わらないからね」と当時の多忙さを語りました。
石破茂前首相がラジオ番組出演時に見せた穏やかな笑顔。退任後の心境を語る姿。
参院選敗因を巡る石破氏の分析と国民の声
番組中盤、コメンテーターの青木理氏が「自民党が参議院選挙で負けたのは、一番大きかったのは何だと思います?」と問いかけると、石破氏は「総理に人気がなかったんじゃない?」と即答しました。これに対し、大竹まことは「違いますよ。政治とカネですよ」と反論。石破氏は頷きながらも、「国民主権だから、いろいろ取り沙汰されている方も、有権者の審判は経ているわけですよね」と述べ、「国民の方々がどうすれば納得してもらえるんだろうかっていう努力は、私自身足りなかったと思っています」と自己反省の弁を口にしました。
この発言に対し、インターネット上では厳しい声が相次ぎました。「なかったのは人気じゃなくて総理たる実力です」「めっちゃ他人事だな。だから負けるんだよ」「総理を辞めた後もまだ支持されなかった理由をわかってないな」など、敗因を「人気」と捉える石破氏の語り口に違和感を覚える意見が多数。問われているのは、単なる「人気」ではなく、政治そのものへの「信頼」や「実力」ではないかという声が広がっています。
結論
石破茂前首相がラジオ番組で語った退任後の生活と参院選の敗因に関する見解は、彼自身の心境と、国民が抱く政治への期待との間に大きな隔たりがあることを示唆しています。彼が敗因を「人気」と分析したのに対し、世論は「政治とカネ」や「政治家としての実力」「政治への信頼」の欠如を指摘。この認識の差は、今後の日本の政治において、リーダーシップが単なるカリスマ性や人気に留まらず、より深く国民の信頼と共感をどう獲得していくかという、本質的な課題を提起しています。




