『24時間テレビ』横山裕のマラソン完走に称賛と募金最高額、一方「酷暑下の危険性」に番組批判の声

毎年夏の恒例行事として親しまれる大型チャリティー特番『24時間テレビ48-愛は地球を救う-』(日本テレビ系)が、今年の8月30日と31日に放送されました。この番組で105キロのチャリティーマラソンを見事完走したSUPER EIGHTの横山裕(44)氏には、その奮闘ぶりに対して全国から大きな称賛の声が寄せられています。しかしその一方で、近年深刻化する猛暑の中での長距離マラソンという番組形式に対して、改めて厳しい批判の声も上がっています。

横山裕、感動の105km完走と過去最高の募金額

横山裕氏は、幼少期から家計を支えるために必死に働くなど、多くの苦労を経験してきました。そのため、全国の支援を必要とする子どもたちを助けるべく「マラソン子ども支援募金」を募るために走るという彼の動機は、視聴者に強い共感を呼び、極めて説得力のあるキャスティングとなりました。昨年も、児童養護施設で育った経験を持つやす子さん(26)が同様の境遇の子どもたちのために走り、多くの感動を呼びました。横山氏ややす子さんのような「ストーリー」を持つランナーがゴールに向けて懸命に走る姿は、視聴者の心を動かし、多くの寄付金が集まることは非常に意義深いことです。

今回の横山氏の105キロ完走は、放送時間内での寄付金額が番組史上最高額となる7億40万8600円を記録するという偉業にも繋がりました。ファンや視聴者からは、「横山くんて今まで苦労して生きてきたからこそ説得力があるよね。あんなに集まるのも当然よ」「人はストーリーにお金を払うって言われてるけど今年の横山くんのストーリーは演出超えてまっすぐ届いた」といった称賛の声が多数寄せられています。

24時間テレビのチャリティーマラソンを完走し、感動のゴールを迎えるSUPER EIGHT横山裕24時間テレビのチャリティーマラソンを完走し、感動のゴールを迎えるSUPER EIGHT横山裕

酷暑下マラソンへの根強い批判と安全性の懸念

横山氏の奮闘が称賛される一方で、番組のスタイル、特に酷暑の中で開催されるマラソンについては、根強い疑問の声が上がっています。近年、日本の夏は気候変動により「危険な暑さ」となる日が増加しており、放送当日も日中35℃を超える猛暑日でした。そのような状況下で長距離マラソンを実施することに対し、視聴者からは「この時期にこの暑さの中でのマラソンは命にかかわるほど危険だと思います。事故が起きる前に別の案も検討して欲しい」「日テレは24時間テレビでこんな酷暑の中マラソンさせるの今回で最後にしてほしい」といった厳しい意見が殺到しています。

『24時間テレビ』総合司会の羽鳥慎一氏(54)も放送前、「普段(自身が出演する)番組で『暑さが厳しい時間帯の外出は控えて』と呼びかけているのに、従来通りマラソンをやるのは矛盾していると声が上がるのは当然。考えないといけない」と、『スポーツ報知』の取材でコメントしていました。今年6月1日からは、厚生労働省の労働安全衛生規則の改正により、事業者に対して熱中症対策が義務化されています。番組側は、横山氏の隣を走るランナースタッフがWBGT(暑さ指数)の値を常に測定するなど細心の注意を払っていましたが、日本テレビ内部でも酷暑予報を受けて事前に「今回は中止をしたほうがいいのでは」という意見があったと報じられています。

横山裕氏の感動的な完走と過去最高の募金額は、改めてチャリティーの意義を示しました。しかし、同時に浮き彫りになったのは、現代の気象条件下におけるチャリティーマラソンの安全性と、番組としての責任に対する社会的な議論です。『24時間テレビ』が今後も国民的な番組として愛され続けるためには、この根強い批判と安全性の懸念に真摯に向き合い、番組形式の抜本的な見直しが求められているのかもしれません。

参考文献