ボルボV90生産終了へ:ステーションワゴンの時代は終わるのか、EVシフトの背景と市場の動向

ボルボは、同社の象徴的な大型ステーションワゴン『V90』の生産を9月に終了すると発表しました。これは「グローバルサイクル計画に沿ったもの」と説明されており、自動車業界全体で加速するEV(電気自動車)への移行と、SUVの人気上昇が背景にあると見られます。長年愛されてきたステーションワゴンの未来は、どのように変化していくのでしょうか。

ボルボの戦略的転換:EVとSUVへの注力

AUTOCARの取材に対し、ボルボは『V90』の生産終了を明らかにしました。今後の動向として、来年初頭に英国で発売予定のリフトバック型新型EV『ES90』がV90の後継車種となる可能性が示唆されていますが、ES90のワゴン派生モデルについては現時点では不明です。かつてジム・ローワン元CEOは、『ES90』発表時に「ステーションワゴンを完全に廃止するのか」との問いに対し、「はい。時代は変わりました」と明言しました。

ボルボV90、生産終了が発表された大型ステーションワゴンの姿ボルボV90、生産終了が発表された大型ステーションワゴンの姿

ローワン氏は、『ES90』の比較的高い車高はSUVとの共通点であり、ハッチバック式のトランクと40:20:40分割式のリアシートによって、ステーションワゴンと同等の高い機能性を備えていると強調しています。また、SUVの『XC60』のラインナップにおける位置づけを調整することで、『V90』が担っていた役割を補完できるとの見解も示されました。多様な「エディション」(例えばブラック・エディションやクロスカントリー・エディション)を展開することで、消費者のニーズに応える戦略です。

根強いステーションワゴン需要と日本市場の行方

現在のホーカン・サミュエルソンCEOは、ローワン氏の時代の方針から明確な転換を示す兆しを見せていません。しかし、ボルボのステーションワゴンの人気は一部の市場で依然として根強く、その需要は無視できないものがあります。例えば英国では、2023年に一時的に『V60』と『V90』がラインナップから外されたものの、顧客からの強い要望を受け、2024年7月に両モデルが再導入されました。ボルボ英国部門の担当者は、中型ステーションワゴン『V60』の生産は当面継続され、英国の顧客は引き続き注文が可能であると述べています。

一方で、日本市場における『V90』の今後の動向については、本稿執筆時点ではまだ具体的な確認が取れていません。世界的なEVシフトとSUV人気の中で、日本におけるステーションワゴンの需要がどのように評価されるのか、今後のボルボの発表が注目されます。

結論

ボルボ『V90』の生産終了は、自動車メーカーがEVとSUVへの戦略的な焦点を強めている現代の自動車業界のトレンドを象徴しています。しかし、一部市場ではステーションワゴンの根強い人気も健在であり、今後のボルボがどのように市場のニーズと自社のグローバル戦略を両立させていくのか、その動向が注目されます。特に日本市場におけるV90の最終的な取り扱いについては、引き続き情報収集が必要です。

参考文献

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