麻生氏、臨時総裁選実施を要求 – 石破首相続投意向に圧力高まる

自民党の麻生太郎最高顧問は3日、横浜市で開催された麻生派(43人)の研修会において、「私は総裁選の前倒しを要求する書面に署名し、提出する」と述べ、臨時総裁選の実施を明確に求めました。これは、石破首相(党総裁)が2日に続投の意向を示したことを受け、首相に対する事実上の退陣勧告として、総裁選の前倒し実施を支持する動きが党内で加速していることを示しています。

麻生氏の決断と党内情勢

臨時総裁選の実施可否は8日に決定される予定で、党所属国会議員と都道府県連代表の合計342人の過半数である172人が要求すれば実施されます。麻生派は現在、党内で唯一残る派閥であり、その動向は政界全体から注目を集めています。麻生氏が公の場で明確な態度を示したことで、派閥内の大半は総裁選前倒しに賛成する公算が大きいと見られています。首相経験者である麻生氏の判断は、派閥外の議員にも大きな影響を与える可能性があり、自民党内の情勢は一層緊迫しています。

自民党の麻生太郎最高顧問、臨時総裁選要求表明の背景自民党の麻生太郎最高顧問、臨時総裁選要求表明の背景

参院選惨敗への危機感

麻生氏は講演の中で、今年7月の参議院選挙の結果を「惨敗だった」と強く表現し、「次の衆議院選挙で確実に勝利できる体制を整えることこそが、今行わなければならない喫緊の課題だ」と訴えました。臨時総裁選の要求については、「党が一丸となって目標に向かって邁進できる体制を整えるにはどうすれば良いか、一人ひとりが真剣に判断していただきたい」と呼びかけ、党内の危機感を共有し、新しいリーダーシップの下での立て直しを促す意図をにじませました。

石破首相、続投意向を示す中での官邸入り石破首相、続投意向を示す中での官邸入り

賛成派と慎重派の動き

麻生氏の発言に加え、政府内でも臨時総裁選の実施を支持する表明が相次いでいます。穂坂泰デジタル副大臣は3日、自身のブログで総裁選実施への賛成を公表しました。また、高村正大法務副大臣も2日には、フェイスブックを通じて前倒し開催を求めると宣言しています。

一方で、賛同派の発信が活発化する中、石破首相に近いとされる岩屋外相は2日、訪問先のクウェートで記者団に対し、「この局面において、リーダーとして最も適任なのは石破首相以外にいない」と述べ、首相を擁護する立場を表明しました。これにより、自民党内では、首相の続投を求める声と、臨時総裁選による党刷新を求める声が拮抗する状況となっています。

結論

自民党内で麻生太郎最高顧問が臨時総裁選の実施を公然と要求したことは、石破首相の続投意向に対する明確な圧力であり、党内政治情勢の大きな転換点となりつつあります。参院選の「惨敗」という共通認識の下、党の再建に向けた新たなリーダーシップを求める動きが加速する一方で、現首相を支持する声も根強く、今後の党内での議論と8日に予定されている決定が、自民党そして日本政治の行方を大きく左右することになるでしょう。