フジテレビ改革に新たな波紋:竹中平蔵氏関与のサイカ起用巡り社内で反発の声

組織の立て直しを急ぐフジテレビにおいて、新たな問題が浮上している。毀誉褒貶が相半ばする経済学者、竹中平蔵氏(74)が社外取締役を務めるマーケティング会社「サイカ」に対し、改革の一翼を担うコンサルティング業務を依頼する案が持ち上がっており、これに対しフジテレビ社内からは早くも反発の声が上がり始めている。

フジテレビ、ガバナンス問題収束と組織改編の進展

フジテレビでは7月以降、多くのスポンサー企業がCM出稿を再開し、元タレントの中居正広氏(53)による女性トラブルを発端としたガバナンス問題は、徐々に収束へと向かっている。清水賢治氏(64)が社長に就任した1月から進められてきた改革は、総じて順調に進んでいると言えるだろう。7月10日に実施された組織改編では、ついに旧編成総局が解体され、その機能が分散された。これにより、番組制作部門を一手に束ね、旧アナウンス室を所管するなど、権限が過度に集中していた「諸悪の根源」にメスが入れられた形だ。

新戦略局設置とマーケティング重視の背景

清水社長は、組織改編と並行して番組制作においても新たな方向性を打ち出している。新設された「コンテンツ投資戦略局」と「マーケティング局」が、テレビ局の頭脳である編成機能を担うことになった。今後は、個々の番組企画における投資効率がこれまで以上に重視され、データに基づいたより緻密なマーケティングが徹底的に行われていく方針が示されている。このような背景の中、突如として「サイカ」という聞き慣れない企業へのコンサルティング業務依頼案が浮上した。

物議を醸す「サイカ」へのコンサルティング依頼

日本の経済学者で元大臣の竹中平蔵氏の肖像。フジテレビの改革における「サイカ」との提携に際して、社内外からその影響力に注目が集まっている様子を示す。日本の経済学者で元大臣の竹中平蔵氏の肖像。フジテレビの改革における「サイカ」との提携に際して、社内外からその影響力に注目が集まっている様子を示す。

フジテレビの社員が眉をひそめて語るところによると、「サイカ」は、慶應大学総合政策学部で竹中氏から統計分析を学び、薫陶を受けた教え子が13年前に設立したベンチャー企業だ。同社はデータサイエンスに基づくマーケティング業務を手がけており、設立以降、竹中氏の強い影響下にあると指摘する声も少なくない。竹中氏は、小泉政権下で参院議員や郵政民営化担当相を務め、規制緩和を推進した人物であり、格差社会を生んだ新自由主義の象徴と位置付けられることもある。彼を「無慈悲な優勝劣敗主義者」だと評する意見も絶えない。

竹中平蔵氏への批判と社内の懸念

フジテレビ社内からは、竹中氏の「サイカ」への関与に対し、改革の方向性や企業文化への影響を懸念する声が上がっている。長らく日本の経済政策に大きな影響を与え、その功罪について議論が分かれる竹中氏の思想が、フジテレビの今後の番組制作や組織運営に深く関わることへの抵抗感が背景にある。特に、公平性や公共性が求められる放送業界において、効率性や競争原理を重視する竹中氏の影響力が強まることに対する不安は大きい。

結論

フジテレビはガバナンス問題の収束と組織改編を通じて、新たな経営体制の下で改革を進めている。しかし、その過程で、経済学者・竹中平蔵氏が関与するマーケティング会社「サイカ」へのコンサルティング依頼が浮上し、社内での反発を招いている。この問題は、単なる業務委託に留まらず、フジテレビの未来の方向性や企業としての公共性、そしてどのような価値観に基づき組織を再構築していくのかという、より本質的な問いを投げかけている。今後のフジテレビの経営判断と、それに伴う社内外の反応が注目される。

参考資料