9月に入り、自民党内で「石破降ろし」の動きが勢いを増し、石破茂首相(自民党総裁)の政権運営は「八方ふさがり」と評される大ピンチに陥っています。与党内の分断や野党第一党の複雑な出方も加わり、日本の政局は混迷の度を深めています。
幹部辞任で進む「石破降ろし」の動き
石破首相が「続投宣言」をしたにもかかわらず、政権の要である森山裕幹事長が参議院選挙敗北の責任を取り辞意を表明。これに続き、鈴木俊一総務会長ら他の党三役も一斉に辞表を提出しました。これにより、党内では「後任人事もままならない事態」に追い込まれており、「石破降ろし」の動きを加速させています。
石破茂首相が首相官邸に入り、緊迫する政局の中で厳しい表情を見せる様子
事実上の「総裁リコール」か?早期総裁選の行方
こうした状況の中、事実上の「総裁リコール」ともいえる自民党総裁選の前倒し可否が9月8日に判明する見通しです。党内では、前提条件となる過半数に到達する可能性が高いとの見方が急拡大しています。「リコール成立」となれば、石破首相はその時点で党総裁の地位を事実上失い、「退陣を表明しなければ『総理・総裁分離』という異常状態での政権運営となり、新総裁選出の時点で石破内閣の命運が尽きる」と政治ジャーナリストは指摘します。
党内「今が決断の時」と公明党の続投支持
石破首相は「しかるべき時にきちんと決断する」と繰り返していますが、党内からは「今がその時」との声が相次いでいます。党内で唯一派閥を維持する麻生太郎最高顧問は3日の同派研修会で「総裁選前倒し」支持を明言。他の旧大派閥も前倒し支持に傾きつつあるとされます。一方で、連立を組む公明党は2日の自公党首会談や幹事長会談で、石破首相の続投を前提に物価高対策などの早期実施を申し合わせ、与党内の分断も鮮明になっています。
立憲民主党の複雑な胸中:不信任案提出への躊躇
さらに事態を複雑化させているのが、野党第一党である立憲民主党の動きです。野田佳彦代表は、石破首相が続投した場合の次期臨時国会での内閣不信任決議案提出には及び腰とされています。これは「不信任案を出して石破首相が解散に打って出ると、野党が共倒れで自民党が漁夫の利で議席を増やす可能性がある」との不安が根本にあると党幹部は語り、「攻めるはずの立憲が、石破首相の続投を後押しするという与野党攻防の歪み」が生じています。
結論
自民党内の「石破降ろし」が本格化する中で、石破政権は幹部辞任、早期総裁選の可能性、そして与党・野党双方からの複雑な思惑に直面し、まさに「八方ふさがり」の状況にあります。9月8日の総裁選前倒し可否の判断は、石破首相の政治的命運だけでなく、今後の日本政局の行方を大きく左右する重要な節目となるでしょう。
参考文献: