今年4月に筑波大学へ進学された秋篠宮家の長男・悠仁さま(18)は、中国の国営メディアや大手ポータルサイトでも頻繁に話題となり、「悠仁さま大学生活の現状」といった投稿が多数見られるなど、そのご動向に高い関心が寄せられています。しかし、この高まる関心が「皇室ビジネス」と称される、日本の皇族名を無断で商標登録する動きに悪用されている実態が明らかになっています。特に、悠仁さまや秋篠宮家の次女・佳子さま(30)のお名前が、酒類から電化製品に至るまで、様々な商品分野で申請されていることが確認されており、日本の皇室の品位を損なう深刻な問題として懸念されています。
中国の商標登録サイトで確認された「悠仁」など日本の皇族名の登録申請リスト
高まる中国の皇室への関心と「皇室ビジネス」の現実
悠仁さまの大学進学のニュースが中国で広く報じられる一方で、過去には同様の「皇室ビジネス」が問題視された経緯があります。佳子さまが国際基督教大学に入学され、「佳子さまフィーバー」が起きた2015年には、中国福建省のメーカーから「佳子公主(佳子プリンセス)」という商品名のおむつが発売され、日本でも大きな波紋を呼びました。このような事態を受け、中国当局は商標情報の開示を以前よりも厳しく管理するようになったとジャーナリストの周来友氏は指摘します。現在、中国の商標申請状況を海外から確認するには、デジタル証明書やPINコードなどの事前登録が必要となり、手続きが複雑化しているのが実情です。
複雑化する中国商標登録の実態と抜け穴
セキュリティ強化にもかかわらず、現状では依然として複数の個人や法人によって「悠仁」「佳子」といった皇族の名称が、アルコール飲料から電化製品まで多岐にわたる商品カテゴリで多数申請されていることが判明しています。「悠仁太子(太子は王子の意)」や「悠仁天皇」といった名称も含まれ、これらが承認された事例は確認されていないものの、「審査中」の案件が多数控えている状況です。
中国商標網に表示される「悠仁」を含む皇族名が申請された商標の一例
中国の商標制度に詳しい椿特許事務所代表弁理士の椿豊氏によると、中国は日本と同様に「早い者勝ち」の登録主義を採用しています。公序良俗規定により他人の氏名を勝手に商標登録することは禁じられていますが、審査官が申請された個人名を知らない場合、見過ごされて商標が登録されてしまうケースもあるとのことです。例えば、「佳子」という言葉は中国語で「美しい人」という意味合いも持つため、審査官が見落としてしまった可能性も指摘されています。
巧妙化する商標申請と皇室の品位への影響
審査の目が厳しくなる中で、一部の業者はさらに巧妙な手口を用いています。皇族のお名前の前後に漢字を付け足した「悠仁堂」や「香悠仁」といった“造語”による商標登録も確認されており、法の網をかいくぐろうとする「偽装申請」の試みが横行しています。椿弁理士は、皇族のお名前で商標が承認されてしまうことは、皇室の品位やイメージを損なう恐れがあると警鐘を鳴らし、中国での不適切な商標登録を防ぐためには、日本側が「こまめにチェックしていくしかない」と現実的な対応の必要性を訴えています。
この問題に対し、宮内庁総務課報道室は「(皇族の名前が商標に使用されていることは)把握していません。現時点では詳細を把握しておりませんので、対策について、特に検討はしていませんが、いずれにせよ、皇室のご活動などに支障が生じることのないよう、注意してまいります」との見解を示しています。
結論
日本の皇族の名称を無断で商標登録し、営利目的で利用する「皇室ビジネス」は、皇室の品位を貶め、国際的なイメージにも影響を及ぼしかねない由々しき問題です。中国での商標登録制度の複雑さと巧妙化する申請手口に対し、日本側、特に宮内庁は、より積極的かつ具体的な対応策を早急に検討し、実行に移すことが求められます。皇室の尊厳と品位を守るため、国際的な知的財産権の保護の観点からも、この種の不適切な行為は断じて許されてはなりません。
参考文献
- 週刊ポスト2025年9月12日号
- Yahoo!ニュース: https://news.yahoo.co.jp/articles/c9a4af63d454180c9f3c8b1c0eea9e5847796085
- Money Post: https://www.moneypost.jp/1311844/image/2