SNSでの誹謗中傷が社会問題となる中、埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授(50)が、ユニークな方法でこの問題に立ち向かい注目を集めています。教授は、自身に向けられたネット上の誹謗中傷に対して訴訟を起こし、得た慰謝料を費やして増毛を実施。この一連の出来事は、文春オンラインの記事で報じられ、「不毛な誹謗中傷との戦いを有毛に変える」という教授の宣言が大きな話題を呼んでいます。
「不毛な戦いを有毛に変える」:攻撃へのユニークな対抗策
コロナ禍の最中、医療現場からの情報発信を積極的に行っていた岡教授は、日に20件もの誹謗中傷に晒されていました。その中でも特に多くを占めたのが、容姿に対する攻撃であり、「ハゲ」といった侮辱的な言葉が繰り返されていたといいます。これに対し、岡教授は「おまえから取った慰謝料で増毛してやる」と公言し、実際に150万円を投じて増毛を決行しました。この「不毛な誹謗中傷との戦いを有毛に変える」というモットーのもと、勝訴する度に髪を増やしていくという、型破りな反撃姿勢を見せています。
誹謗中傷の標的となった増毛前の岡秀昭埼玉医科大教授。コロナ禍での情報発信が原因で容姿への攻撃が相次いだ。
誹謗中傷の実態:加害者は「社会的弱者」に限らず
発信者情報開示請求には、一人あたり80万円から100万円程度の費用がかかり、慰謝料の相場は一投稿につき10万円から20万円とされています。岡教授は、被害が甚大であったため、一度に10件から20件をまとめて開示請求することで、コストを効率的に抑える工夫をしました。この過程で明らかになったのは、誹謗中傷を行う加害者の中には、元大手メーカーの研究員や弁護士といった高学歴者が含まれているという事実です。これは、「社会的弱者ばかりではない」という、ネット上の誹謗中傷の複雑な実態を浮き彫りにしています。
ユーモアと行動力への共感、そして根本的解決への提言
岡教授のこの対応は、Yahoo!ニュースのコメント欄などで多くの反響を呼び、「逆境をユーモアと行動力で克服する姿勢は素晴らしい」といった称賛の声が多数寄せられています。「この医師のやり方、マジいいね。話題作りにもなるし、増毛もできるし…」といった具体的な評価も見受けられます。
一方で、根本的な解決策を求める声も上がっています。「X(旧Twitter)は世界規模の下水道」というパリ市長の発言を引き合いに出し、発信者情報開示請求の簡素化を望む意見や、「匿名という仮面があるせいでSNSでは誹謗中傷が犯罪にも関わらず軽いものと見なされている」として、より厳格な罰則の必要性を訴える声も聞かれます。岡教授の行動は、ネット上の誹謗中傷問題に対する意識を高め、社会全体での議論を促すきっかけとなっています。
参考資料
- 文春オンライン, 「【変わりすぎ!!】ハゲ→フサフサになった岡秀昭医師50歳の“最新ショット”を写真で見る」, 2024年5月10日, https://bunshun.jp/articles/photo/81500?utm_source=news.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=partnerLink&pn=9
- Yahoo!ニュース, 「「不毛な誹謗中傷との戦いを有毛に変える」埼玉医科大教授(50)が得た慰謝料で「増毛」した結果」, 2024年5月10日, https://news.yahoo.co.jp/articles/8092822bde06d30f5119f97dc2869b9f21730d40