米労働省が5日発表した8月の雇用統計(速報値、季節調整済み)によると、景気動向を敏感に示す非農業部門の就業者数は前月比2万2000人増で、市場予想(7万5000人増)を下回った。雇用市場の減速が鮮明となり、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が9月会合で利下げするとの観測が強まった。
就業者数は自動車・自動車部品が7300人減と前月(2000人増)のプラスから大幅なマイナスに転じた。建設も7000人減と前月(1000人減)から減少幅が大きくなった。
6、7月の就業者数も計2万1000人下方修正された。トランプ政権の大規模関税で米経済の先行きが不透明となり、企業が新規雇用に慎重になっている可能性がある。
8月の失業率も4・3%と前月(4・2%)から悪化した。
FRBは関税による物価上昇(インフレ)を懸念し1月会合以来、政策金利を据え置いてきた。だが、雇用市場の減速が鮮明になったことで、次回16~17日の9月会合で6会合ぶりに利下げに踏み切るとの観測が強まった。【ワシントン大久保渉】