ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は5日、英国やフランスなど「有志国連合」が検討している停戦後のウクライナへの部隊派遣構想について「ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)に引き込む」動きだとし、ロシアの安全保障に反するとして容認しない立場を示した。「仮にウクライナに部隊が現れれば、とりわけ現在の戦闘行為中に現れれば(露軍の)正当な攻撃目標になるだろう」とも警告した。
プーチン氏は同日、極東ウラジオストクで露主催の国際会議「東方経済フォーラム」の全体会合に出席。司会者との質疑応答で発言した。プーチン氏は有志国部隊を攻撃する可能性に言及し、部隊派遣構想を断念させる思惑だとみられる。
ウクライナ和平プロセスでは、ロシアの再侵略を防ぐウクライナの「安全の保証」をどう確保するかが焦点の一つ。ウクライナは和平の条件として国際社会に「安全の保証」を要求。欧州はその一環として停戦後の部隊派遣を模索し、トランプ米政権も欧州を支援する方針を示している。
プーチン氏はウクライナのゼレンスキー大統領が求める首脳会談について、露首都モスクワが「最良の場所」だとし、モスクワであれば応じる考えを改めて示した。一方でゼレンスキー氏との会談には「あまり意味は見いだせない。重要問題に関する合意が不可能だからだ」とも発言。対露譲歩を否定するゼレンスキー政権を交代させるよう欧米諸国に暗に促した形だ。
プーチン氏は質疑応答に先立つ演説で、露経済の現状などに言及。インフレの加速が景気の悪材料となっていることを認めつつ、「経済成長率を維持しながらインフレを抑制し、最終的には問題を解決できると確信している」と強調した。(小野田雄一)