韓国で物議醸す「不倫夫の腎臓移植拒否と財産贈与」事件、専門家が解説

韓国で衝撃的な離婚事例が報じられ、社会に波紋を広げている。不倫相手と同居しながら腎臓病を患った夫が、妻と実子からの腎臓移植を拒否されると、生活費や養育費の支払いを停止。さらには、自身の財産を婚外子に贈与し、本妻と子どもを自宅から追い出すという行為に及んだという。この異例のケースは、離婚事件を20年以上担当してきた大邱家裁慶州支部のチョン・ヒョンスク部長判事によって、tvNの番組「思いがけない大人 10周年特集」で紹介され、法的・倫理的な側面から注目を集めている。

腎臓移植を拒否された夫、生活費・養育費停止と離婚訴訟

この夫婦には2男1女がいたが、夫は20年間の結婚生活中に飲酒を繰り返し、深夜帰宅や外泊が常態化していた。やがて別の女性との間に婚外子をもうけ、退職を機に自宅を出て不倫相手と同居を開始。二重生活を送っていた。しかし、その後夫は腎不全を患い、透析治療を受ける身となる。そこで夫は、本妻と子どもたちに腎臓移植のための提供を求めたが、これは拒否された。この拒否をきっかけに、夫は生活費と養育費の支払いを一方的に停止し、自ら離婚訴訟を起こした。しかし、裁判所は夫が不倫などの「有責配偶者」であると認定し、夫からの離婚請求を棄却した。

韓国tvNの番組「思いがけない大人 10周年特集」のロゴ画像。同番組で紹介された離婚事例が今回の記事のテーマとなっている。韓国tvNの番組「思いがけない大人 10周年特集」のロゴ画像。同番組で紹介された離婚事例が今回の記事のテーマとなっている。

有責配偶者のさらなる暴挙:財産贈与と住居からの追放

離婚請求が棄却された後も夫の暴挙は止まらなかった。夫は自身の財産を婚外子に贈与し、さらに本妻と子どもたちが住んでいた夫名義の家を処分。結果として、妻と子どもたちは住む家を失い、路頭に迷う事態となった。この一連の行動は、道徳的にも法的にも重大な問題提起をしている。

専門家が示す妻の法的選択肢

チョン・ヒョンスク部長判事は、このような状況に置かれた妻がとりうる法的選択肢について説明した。妻は、法律婚を続けるか、あるいは離婚を求めて慰謝料と財産分与を請求するかのいずれかを選択できるという。また、妻と子どもたちが経済的に困窮した場合には、扶養料請求訴訟を起こすことが可能であり、不倫相手に対しても慰謝料請求を行うことができると述べた。この事例は、韓国社会における複雑な家族問題と、有責配偶者の不当な行為に対する法的救済の重要性を示唆している。

まとめ

本記事で紹介された韓国の離婚事例は、不倫、腎臓移植の拒否、養育費の停止、さらには財産の不当な処分と住居からの追放という、極めて複雑かつ倫理的に問題のある状況を浮き彫りにしました。有責配偶者による一方的な行為が、残された家族に甚大な影響を及ぼす実態を伝え、専門家による法的選択肢の提示は、同様の困難に直面する人々にとって重要な情報源となり得るでしょう。この事例は、国際的な視点から家族法や倫理について深く考察する機会を提供しています。

参考文献

  • KOREA WAVE/AFPBB News (2025年9月6日). 韓国tvN「思いがけない大人 10周年特集」での報道.