米国、イスラエル捜査協力のパレスチナ3団体に制裁措置 国際刑事裁判所との関係巡り

【AFP=時事】米国は、イスラエル国民の訴追を進める国際刑事裁判所(ICC)の活動を支援したとして、パレスチナの主要な人権団体3団体に制裁を科しました。これは、ICCがパレスチナ自治区ガザ地区での戦争犯罪の疑いでイスラエル高官に対する逮捕状を求めている中で、米国がICCの動きを妨害するために講じた新たな措置です。ICCは同時に、イスラム組織ハマスの指導者に対する訴追も進めています。

マルコ・ルビオ米国務長官は4日、アル・ハック(Al-Haq)、アル・メザン人権センター(Al Mezan Human Rights Center)、パレスチナ人権センター(Palestinian Center for Human Rights)の3団体を、大統領令に基づき制裁対象に指定したと発表しました。ルビオ国務長官は、「これらの団体は、イスラエルの同意なしに、ICCによるイスラエル国民の捜査、逮捕、拘束、訴追に直接関与してきた」と述べ、制裁の根拠を明確にしました。

マルコ・ルビオ米国務長官、国際刑事裁判所とパレスチナ人権団体への制裁を巡る発言マルコ・ルビオ米国務長官、国際刑事裁判所とパレスチナ人権団体への制裁を巡る発言

パレスチナ人権団体の反発と国際的な管轄権の問題

これに対し、3団体は共同声明で米国の制裁措置を強く非難しました。声明の中で、「米国は、イスラエルのシオニスト入植者による植民地主義のアパルトヘイト(人種隔離政策)体制とその違法な占領を擁護し、定着させることを選択した」と批判し、米国の行動が国際法に反すると主張しました。

米国、イスラエル、そしてロシアといった国々は、国際刑事裁判所の管轄権を認めていません。米国はこれまでに、今年6月にICCの判事4人、8月には同盟国の出身者を含むICCの判事2人および検察官2人に対し制裁を科しており、今回の措置はICCに対する圧力の一環と見られています。

高まる国際社会の緊張

今回の米国のパレスチナ人権団体への制裁は、ガザ紛争を巡る国際的な法廷闘争と政治的緊張を一層高めるものです。イスラエルとパレスチナ双方の戦争犯罪疑惑に対するICCの捜査は、国際社会において賛否が分かれ、関連する国々の外交関係に大きな影響を与え続けています。人権擁護を巡る国際的な対立は、今後も注視されることでしょう。


参考文献