放送局占拠 第8話:武蔵と大和、因縁を越え「般若」伊吹の暴走を止められるか

2025年9月6日に放送された『放送局占拠』(日本テレビ系)の第8話では、武蔵(櫻井翔)によって凍死寸前の状況から救われた大和(菊池風磨)が、”般若”こと伊吹(加藤清史郎)が変貌した理由と、自身が妖から追放された背景を明かしました。この告白を機に、二人は伊吹の暴走を阻止するため、ついに手を組むことになります。『大病院占拠』(日本テレビ系)から続く武蔵と大和の因縁の関係に、武蔵にとっては義弟でもある共通の敵が現れたことで、物語は大きな転換点を迎えました。これは、シリーズを追う視聴者が待ち望んだ展開と言えるでしょう。

放送局占拠の緊迫した場面。武蔵、大和、般若こと伊吹の関係性が物語の鍵を握る。放送局占拠の緊迫した場面。武蔵、大和、般若こと伊吹の関係性が物語の鍵を握る。

大和の役割:レクター博士からの進化

前作『新空港占拠』(日本テレビ系)において、拘置所に収容されていた大和は、武蔵が占拠犯の情報を得るために面会に訪れるシーンや、本庄(瀧内公美)を言葉巧みに揺さぶる一連の場面(今回、彼が本庄を“妖”に引き入れようとしていたことが明かされた)を通して、その存在感を示しました。筆者は当時、この『占拠』シリーズにおける大和の位置付けを、ジョナサン・デミ監督の『羊たちの沈黙』に登場するレクター博士になぞらえて指摘しました。最終話で脱獄した大和によって、さらに大規模な事件が引き起こされる『ハンニバル』的な続編を期待していましたが、『放送局占拠』は半分だけその予測が的中した形です。確かに“妖”のきっかけは大和が作ったものの、伊吹を完全に掌握するには至っていません。今回、拘束されて指揮本部に連行され、厳重な監視下に置かれている大和の状態を見る限り、彼はまだ『羊たちの沈黙』のレクター博士の域を出ていないと言えるでしょう。テレビ局占拠事件が解決する頃には、大和が再び逃亡を図る可能性が高いと推測されます。

暴かれる「始まりの闇」と過去の事件

局内では、官房長官の息子である式根(山口大地)が「死のゴムパッチン」の装置にかけられ、伊吹は武蔵に対し、式根が関与する「始まりの闇」を突き止めるよう命じます。ヒントを頼りに屋代(高橋克典)に話を聞こうとする武蔵に、大和は同席を申し出ます。そこで明らかになったのは、式根が過去に犯した罪を官房長官の指示で屋代が隠蔽していたという事実でした。そして、この事実を公にしようとした記者の安室光流(山本直宏)が殺害され、その隠蔽のために伊吹の恋人が罪を着せられた「鎌鼬事件」が起きたことが判明します。

「あかなめ事件」と「座敷童子」の真実

さらに、この一連の事件は“化け猫”こと高津美波(入山杏奈)と“河童”こと高津波留斗(柏木悠)の高津姉弟の父親が命を落とすきっかけとなった「あかなめ事件」へと繋がり、式根によって死に至らしめられた女性の妹、すなわち人質の中にいた番組ADの忽那翡翠(齊藤なぎさ)が復讐のために“妖”の最後の一人「座敷童子」となったことなど、これまで点在していた多くの謎が一つに繋がっていきました。

残された謎:PM PLAN、例の場所、そして「傀儡子」

これほどまでに事件の真相が明らかになったにもかかわらず、伊吹の暴走が止まる気配はありません。前回のラストで映し出された「PM PLAN」、局内に存在する「例の場所」、そして伊吹が“大トリ”と語る「傀儡子」の存在が、未だ解決されていない謎として残されているからです。これらの謎は、「傀儡子」が誰であるかさえ判明すれば、芋づる式にその全貌が明らかになるはずです。今回のエピソードを観る限り、「傀儡子」の正体が式根の父である官房長官である線は消滅したと考えて良いでしょう。そうなると、『新空港占拠』の“山猫”のように、何食わぬ顔で物語の中に紛れ込んでいる、すでに登場している人物――特に残る4人の人質の中にその可能性があると考えるのが最も妥当です。


日本ニュース24時間 編集部