習近平・プーチン両首脳「不老長生」会話が削除に、中国のメディア統制が浮き彫り

今月初め、中国北京で開催された閲兵式(軍事パレード)の際、中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の間で、不老長生に関する私的な会話が「ホットマイク」に捉えられ、その映像が後に削除されるという出来事がありました。この一連の動きは、中国における情報統制の厳しさを改めて浮き彫りにしています。

ホットマイク事件の経緯

問題の会話は、9月3日(現地時間)、両首脳が閲兵式を観覧するため天安門の望楼に移動する過程で交わされました。プーチン大統領は、「人間の臓器は絶えず移植することができ、長く生きれば生きるほど不滅に至ることができる」という趣旨の発言をしたと報じられています。これに対し、習主席は人間が150歳まで生きられるという予測がある、と答えたとされています。当時、習主席は1953年6月生まれ、プーチン大統領は1952年10月生まれであり、両首脳がこうした「不老長生」について密かに語り合ったことが明らかになりました。

「ホットマイク」とは、有名人が公式の場でマイクが入っていることに気づかず私的な会話を交わし、その発言が意図せず公開されてしまう状況を指します。今回のケースも、マイクがオンになっていることに気づかないままのやり取りが、世界に発信される可能性を秘めていました。

中国の天安門で開催された軍事パレードで並び立つ習近平国家主席とプーチン大統領中国の天安門で開催された軍事パレードで並び立つ習近平国家主席とプーチン大統領

映像の配信と削除要求

国際的な報道機関であるロイター通信は、この出来事を捉えた映像を中国国営放送「中国中央テレビ(CCTV)」から使用許可を得て入手しました。ロイターはこの映像を4分に編集し、契約している世界中の1000社以上のメディアに配布しました。しかし、配信から2日後の5日、CCTVはロイターに対し「映像が編集される過程で発言が明白に歪曲(わいきょく)された」と主張し、該当映像の削除を要求。同時に、ロイターへの使用許可を取り消しました。

ロイター通信の反論と中国側の沈黙

このCCTVの要求に従い、ロイターは映像を削除し、顧客社にも削除を要請しました。しかし、映像が歪曲されたというCCTVの指摘に対しては、「報道内容の正確性を確信している」と反論。公開された映像を慎重に検討した結果、「ロイターの正確かつ偏向のないジャーナリズム原則が損なわれたと信じるに足るような根拠は見つからなかった」と表明しました。ロイターは、CCTVと在ワシントン中国大使館に対し、この事案に関する立場表明を求めたものの、回答は得られなかったと伝えています。

今回の「ホットマイク」事件とそれに続く映像削除の要求は、中国当局が情報に対して強い統制を及ぼしている現状を明確に示しています。たとえ世界的な報道機関であっても、中国国内からの情報発信においては、中国政府の意向が大きく影響するという国際社会へのメッセージとも言えるでしょう。

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