現在放送中の連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)では、主人公・松野トキ(髙石あかり)のお見合い相手・銀二郎を寛一郎が熱演中だ。佐藤浩市を父に、三國連太郎を祖父に持つ“サラブレッド”俳優の朝ドラ登場は大きな話題。コラムニスト・加賀谷健氏も絶賛する彼の演技、「目」と「横顔」の表現力を徹底分析する。
銀二郎の緊張と繊細さを描く「横顔」の演技
『ばけばけ』第2週第9回、松野トキが再度お見合いに挑む。形式張った状況にトキは緊張で硬直するが、婿候補の銀二郎(寛一郎)も同様に緊張していた。室内に据えられたカメラは、ピントの合わない銀二郎を前景に捉え、動けないで座っているトキの影が襖に映る。襖が開き、入り口に座るトキと銀二郎の目が合うと、銀二郎は伏し目がちに頭を下げ、横を向いてしまう。このじっくり捉えられた寛一郎の「横顔」は、銀二郎の内面の葛藤と繊細な心情を雄弁に物語り、視聴者に強い印象を残した。
連続テレビ小説「ばけばけ」の銀二郎を演じる寛一郎。繊細な表情が光る
誠実な人柄が伝わる「白目」の動き
続く第10回の冒頭、お見合いの席は重苦しい沈黙に包まれる。ポン、とししおどしの澄んだ一音がその静寂を破り、銀二郎は「あのぉ」と恐る恐る口を開いた。場の誰もがトキの言葉を待つ中、銀二郎は再び伏し目がちになるが、少し間を置いて斜め上、トキの方へと視線を向ける。この瞬間、パッと「白目」が動くのが印象的だ。
お見合いで一目見ただけの相手と結婚するのが怖いと告白するトキの言葉に、銀二郎は真剣に耳を傾けていた。彼の視線は、まるでトキの言葉を目で聞いているかのよう。寛一郎は、銀二郎という人物の誠実で真面目な性格を、このわずかな白目の動き一つで本能的に表現し、キャラクターの人間性を深く視聴者に伝えた。
結論
寛一郎が連続テレビ小説『ばけばけ』で見せる銀二郎役の演技は、横顔や白目の動きといった微細な表現の中に、キャラクターの豊かな感情と誠実な人柄を凝縮させている。名優の系譜を受け継ぐ“サラブレッド”俳優として、その期待を上回る存在感を放つ寛一郎。彼の繊細な演技アプローチは、今後の『ばけばけ』の物語展開をさらに魅力的なものにするだけでなく、俳優・寛一郎のさらなる活躍への大きな期待を抱かせるものだ。