池袋ガールズバー店長ら逮捕:女性キャストにGPS監視・暴力で売春強要の凄惨な実態

2025年10月14日、東京都豊島区池袋にあるガールズバー「イーウェーブモーニング」の男性店長、鈴木麻央耶(まおや)容疑者(39)と従業員の田野和彩(あい)容疑者(21)が、売春防止法違反(管理売春)の疑いで警視庁に逮捕されました。20代の女性キャストA子さんに対し、売春を組織的に強要していたとされるこの事件は、夜の街に潜む深刻な闇を浮き彫りにしています。鈴木容疑者らはA子さんに「お前はブスで売り上げが悪いから、体を売ってこい」などと執拗に指示し、新宿・歌舞伎町の大久保公園周辺の路上でいわゆる「立ちんぼ」をさせていたと報じられています。さらに、カード型GPSを持たせ、「監視しているからちゃんと稼げよ」と脅迫するなどの悪質な行為が明らかになっています。

池袋のガールズバーで売春を強要された女性キャストの心情を暗示するイメージ写真。夜の街の厳しい現実が背景に池袋のガールズバーで売春を強要された女性キャストの心情を暗示するイメージ写真。夜の街の厳しい現実が背景に

凄惨な売春強要と身体的虐待の実態

A子さんは、毎日の“業務報告”を義務付けられ、2025年7月までの3カ月間、ほぼ休みなしで約400人もの客と売春行為をさせられたとされています。この間に客から受け取った合計600万円もの金銭は、鈴木容疑者の指示により電子マネーで送金させられ、A子さん自身には食事代として1日わずか3000円しか渡されていませんでした。

稼ぎが少ないと、「もっと痩せろ」と鈴木容疑者から暴力を振るわれ、A子さんの体には数十カ所もの打撲痕があったことも判明しています。心身ともに極限状態に追い込まれる、まさに鬼畜とも言える搾取と虐待行為が常態化していました。

事件発覚の経緯と関与者の背景

事件が明るみに出たのは、2025年7月、警視庁の捜査員が大久保公園周辺を夜間に巡回していた際、長時間同じ場所に立ち、客に視線を送るA子さんを発見し、客待ち行為の疑いで現行犯逮捕したことがきっかけでした。取り調べの中で、A子さんから鈴木容疑者らの所業が語られ、悪質な管理売春の実態が明らかになりました(A子さんはその後、不起訴処分)。

ガールズバー「イーウェーブモーニング」は池袋駅北口近くのビル7階に位置し、20代の女性キャストが約15人ほど在籍していました。以前は早朝営業の「朝キャバ」のようなスタイルを売りにしていたものの、最近は深夜も営業するごく一般的なガールズバーだったとのことです。鈴木容疑者は雇われ店長であり、店のオーナーは別に存在していました。

共犯者として逮捕された従業員の田野容疑者は、接客が上手で鈴木容疑者に気に入られ、マネージャーの肩書を与えられていたと報じられています。店長不在時には店を仕切り、年上の従業員にもタメ口で指示を出すなど、強い立場にあったようです。逮捕後は一転して大人しくなり、素直に捜査に応じていると捜査関係者は述べています。

追い詰められた被害女性の絶望

A子さんは、入店後半年ほどはごく普通に働いていたものの、売り上げが伸び悩んだことで鈴木容疑者の目に留まり、凄惨な状況へと追いやられました。さらに、A子さんが借りていたアパートの部屋は鈴木容疑者によって勝手に解約され、ごみが散乱するわずか一畳ほどの店のバックヤードで寝泊まりを強いられていました。

助けを求められる親しい友人もおらず、孤立無援の状態だったA子さんは、担当の女性警察官に対し「身も心もボロボロで、逃げるという発想すら浮かびませんでした」と語っています。これは、精神的・肉体的に極限まで追い詰められた被害女性の深い絶望を物語っています。

警視庁は大久保公園周辺での売春の取り締まりを強化していますが、歌舞伎町関係者からは「深刻な事情を抱える女性たちを、もっと早く保護できないものか」という切実な声も上がっています。主犯である鈴木容疑者は容疑を否認しているとされますが、このような悪質で非人道的な行為は、厳正な法の裁きを受けるべきです。


参考文献: