自民が社保改革提言 75歳以上の窓口負担 割合盛り込まず 政府に歩調合わせつつ厚労族や業界配慮


 自民党の人生100年時代戦略本部(本部長・岸田文雄政調会長)は17日の会合で、全世代型社会保障改革の実現に向けた提言をとりまとめた。焦点になっていた、75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う窓口負担については、一定所得以上の高齢者に限っては窓口負担を引き上げると明記し、引き上げを目指す政府と歩調を合わせた。一方で、厚生労働族や業界などに配慮し、具体的な負担割合は明示しなかった。

 「政府に先立って(日本医師会などに)ヒアリングを行うなど丁寧に議論を進めてきた。関係者の意見、党内世論もしっかり反映した」。提言とりまとめを受け、岸田氏は記者団に強調した。政府の全世代型社会保障検討会議がまとめる中間報告への反映を目指す。

 提言は紹介状なしで大病院を受診した場合に追加負担を求める制度について対象病院の拡大や患者の負担額を増やす方針も明記。ただ、外来受診した人の窓口負担に一定額を上乗せする受診時定額(ワンコイン)負担は盛り込まなかった。

 とりまとめにあたっては、後期高齢者の窓口負担に関し、政府同様、「一定所得以上は2割」と明記するよう求める声もあった。ただ、厚労族などは反発。17日の会合でも「消費税を上げてさらに負担を増やすのかといわれる」などの意見が相次いだ。高齢者らの不満や医師会などに受診抑制になるとの懸念があることが背景にある。

 戦略本部は9月に議論をスタートしたが、政府の改革の方針が定まらず、11月は会議が一度も開かれないなど“受け身”が続いた。もっとも、窓口負担は「原則1割負担を基本とする」という公明党の提言よりは改革姿勢を打ち出した形で、政調幹部は「一歩前進。また次の前進を目指せばいい」と振り返った。

(田村龍彦)



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