都市で広がる「マイクロブタ」との暮らし:予測を超える成長と飼育の現実

かつて家庭で飼うペットといえば、犬や猫が当たり前でした。しかし近年、都市部を中心に「小動物」との共生が静かに広がりを見せています。特に集合住宅ではペット飼育が制限されるケースが多く、また共働き、単身者、子育て家庭など多様なライフスタイルを持つ人々にとって、小動物は受け入れやすい存在となっています。本稿では、そんな「ワンでもニャンでもない家族」として注目されるマイクロブタの魅力と、飼育において知っておくべき現実について深掘りします。

ソファでくつろぐ、飼い主しおりさん宅のマイクロブタ「おもち」くん5歳。都市でのペット飼育の現実ソファでくつろぐ、飼い主しおりさん宅のマイクロブタ「おもち」くん5歳。都市でのペット飼育の現実

都市型ライフスタイルにフィットする新たな家族の形

都市生活における住環境の制約や忙しい日常の中で、犬や猫を飼うのが難しいと感じる人々が増えています。そんな中、「小動物のみ可」とされる集合住宅が増えたことも、新たなペットブームの背景にあります。多様なライフスタイルに合わせたペット選びが進む中、マイクロブタのようなユニークな選択肢が注目され始めたのです。今回の取材では、マイクロブタのおもちくん(5歳)と暮らすしおりさんご夫婦に、その魅力と飼育の現実についてお話を伺いました。

「マイクロ」の誤解?予測を超えるブタの成長

ブタの肌は驚くほど人間に似ており、うっすらと生えた体毛と黒い斑点を除けば、裸の西洋人が寝そべっているようにも見えるほどです。マイクロブタは、2000年代にイギリスでミニブタの交配によって作出された比較的小型のブタで、その愛らしさから近年日本でもペットとして人気が高まっています。街にはブタカフェも増え、犬のように尻尾を振り、好奇心旺盛で人懐こいマイクロブタの姿は、ちょっと変わった犬種だと誤解されることもあります。しかし、「マイクロブタ」は成長すると思った以上に「ブタらしく」なるため、飼育を検討する際には注意が必要です。

おもちくんの成長記録:6kgから37kgへ

しおりさんがおもちくんを家族に迎えてから5年。体重6キロだったおもちくんは、毎日元気に食事を摂り続け、立派な雄豚へと成長しました。特に2歳になるまでは毎月1キロずつ体重が増え、今年の年始には37キロに達したといいます。

この「マイクロ」という言葉が招く誤解は少なくありません。一般的に、100キロから300キロ程度に成長する家畜豚に対し、40キロから100キロ程度の個体を「ミニブタ」、そして40キロ以下のものを「マイクロブタ」と呼称します。しかし、ほとんどのマイクロブタが大型犬以上の大きさに育つのが現実です。例えば、ゴールデンレトリバーの平均体重は約30キロ、40キロに達すると超大型犬であるバーニーズ・マウンテン・ドッグと同程度の大きさになります。この事実を知らずに飼い始め、想像以上の大きさに驚く飼い主も少なくないのです。

マイクロブタ、ミニブタ、家畜豚の定義

  • 家畜豚: 一般的に食肉用として飼育されるブタで、成熟すると100kgから300kg程度の体重になります。
  • ミニブタ: 遺伝的に小型化されたブタで、体重は通常40kgから100kg程度の範囲です。
  • **マイクロブタ: ミニブタをさらに小型化するために交配された種類で、体重が40kg以下に収まるとされています。しかし、個体差が大きく、実際には40kgを超えるケースも珍しくありません。

結論

都市生活における新たな家族の形として、マイクロブタは確かに魅力的な選択肢です。その愛らしい見た目と人懐こい性格は、多くの人々を惹きつけ、ブタカフェの流行もその証拠と言えるでしょう。しかし、「マイクロ」という呼称に惑わされず、成長した際の実際のサイズや飼育環境、ブタ特有の習性について深く理解しておくことが、飼い主としての責任であり、何よりもおもちくんのようなペットが幸せに暮らすために不可欠です。事前調査と覚悟を持って迎えることが、飼い主とマイクロブタ双方にとって充実した共生関係を築くための第一歩となります。

参考文献