愛子さま、ラオスで「世界デビュー」:深刻な医療課題と国際協力の現場

愛子さまがラオスを公式訪問されることで、多くの人々がこの東南アジアの国と、その地が抱える医療課題に目を向けるきっかけとなることが期待されています。「愛子さまがいらっしゃることで、少しでも多くの人にラオスを知ってもらうきっかけになればと思います」と語るのは、アジアの子どもたちの健康支援を行うNPO法人『フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN』の代表を務める赤尾和美さんです。

ラオスを公式訪問される愛子さまのご公務の様子ラオスを公式訪問される愛子さまのご公務の様子

愛子さま初の海外公式訪問:ラオスが直面する医療の現実

天皇家の愛子さまは、2025年11月17日から22日までの日程でラオスを公式訪問されます。これは愛子さまにとって初めての外国公式訪問となり、まさに“世界デビュー”の場となります。この行き先が「意外」との声も聞かれましたが、現地ラオスでは、愛子さまの来訪に対し大きな期待が寄せられています。その背景には、ラオスが抱える「医療が身近にない」という深刻な課題があります。

国際協力NGO『世界の医療団』の職員で医療支援に携わる小川亜紀さんは、ラオス北部フアパン県での母子保健普及活動を通して、同地域が貧困により医療を受けられない人が多い実情を指摘します。ラオス全体で妊産婦や子どもの医療普及が進んでおらず、妊産婦死亡率は10万人中126人、5歳未満の乳幼児死亡率は1000人中40人と、依然として多くの尊い命が失われているのが現状です。

ラオス医療普及を阻む「3つの課題」

前出の赤尾さんによると、ラオスで医療の普及が遅れる主な理由は以下の3点に集約されます。

  1. 医療機関へのアクセスの問題: ラオスはインフラや交通機関が未発達なため、医療機関にたどり着くこと自体が困難な地域が多く存在します。
  2. 貧困の問題: 貧困層が多いラオスでは、医療費や病院までの移動費を捻出できない人々が少なくありません。特に小児科の場合、親が1日中仕事の手を休めることができず、子どもを病院に連れて行けないケースも頻繁に見られます。
  3. 多民族国家ならではの事情: ラオスには約50もの少数民族が存在し、総人口の3割を占めています。民族が異なれば、信仰や話す言葉も多様です。病気や怪我の際に祈祷師に祈りを捧げることが主流の民族もいれば、医療従事者が病気や薬の説明をしようにも言葉が通じない民族も少なくないため、適切な医療提供の大きな障壁となっています。

結び

愛子さまの初の海外公式訪問先がラオスであることは、同国が抱える医療課題への国際的な注目を高める貴重な機会です。この訪問を通じて、インフラの未整備、貧困、そして多民族社会特有の障壁といったラオスの複合的な医療問題を多くの人々が認識し、国際的な支援と協力がさらに強化されることが期待されます。愛子さまの存在が、ラオスの子どもたちや妊産婦の命を救う一助となることを願ってやみません。


参考文献

  • Yahoo!ニュース. (2025年10月31日). 愛子さま「ラオスご訪問」が持つ深い意味…深刻な医療事情を訴えるNPOが期待する“国際デビュー”. Retrieved from https://news.yahoo.co.jp/articles/38525421634c919494097404d557e6e0f5679a6a
  • NPO法人 フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN.
  • 国際協力NGO 世界の医療団.