鈴木農水相の父、過去の「週刊誌沙汰」と疑惑の企業経歴が明らかに

農林水産相として肝いりの「おこめ券」配布を提唱し、その不評が相次ぐ鈴木憲和氏(43)。東京大学法学部卒、農林水産省OBというエリート経歴から、JAの「代理人」と評されることも少なくありません。しかし、その父親がかつて農協系金融機関相手に訴訟を起こし、「週刊誌沙汰」にもなった過去があることが、これまで明かされることのなかった事実として浮上しています。この事実は地元・山形でも知る人ぞ知る話だったと報じられています。

おこめ券問題で批判される鈴木憲和農林水産相おこめ券問題で批判される鈴木憲和農林水産相

新米の出荷が始まった後もコメの価格高騰が止まらない中、鈴木農水相は価格対策として備蓄米の放出に代わり「おこめ券」の配布を提案しました。しかし、地方自治体からは事務作業の煩雑さを理由に反発が相次ぎ、「JAへの利益誘導ではないか」との批判も巻き起こっています。

エリート街道を歩む鈴木農水相と地元からの視線

鈴木氏は開成高校、東大法学部を卒業後、農林水産省に入省。消費・安全局総務課総括係長を最後に30歳で退職すると、2012年には自民党山形県第2選挙区支部長に就任し、同年12月の総選挙で初当選を果たしました。山形を選んだのは、祖父が高畠町、父親が隣の南陽市出身というルーツがあるためです。後援会の幹部は、鈴木氏の父親が「息子が衆院選に立候補するから協力してくれないか」と依頼してきた際の様子を振り返り、「物静かな子で、まさか当選するとは思っていなかった」と語っています。また、この幹部は父親の素性について尋ねると、「親父は地元の集まりにもほぼ顔を出さない。あいつは昔、週刊誌沙汰になったことがあるからさ。福島県の磐梯山のリゾート開発の件を調べてみるといい」と意味深な言葉を残しました。

疑惑のリゾート開発:父が関わった「磐梯リゾート開発」の全容

この「週刊誌沙汰」という穏やかではない言葉の裏には、どのような過去があったのでしょうか。調査によると、鈴木農水相の父親はかつて新聞や週刊誌を賑わせた、いわく付きの会社に役員や社長として名を連ねていました。それが「磐梯リゾート開発」であり、同社の筆頭株主である「テクノ・グリーン」や、関連する二つのゴルフ場の社長も務めていたとされます。

ある経済ジャーナリストは、「磐梯リゾートは宮崎の『シーガイア』と共に、リゾート法の第1号として地方自治体と民間企業の共同出資で設立された第三セクターでした」と解説しています。旧大蔵省OBらの後押しを得て、総事業費約1000億円を投じて総合リゾート施設「アルツ磐梯」を開発しましたが、バブル崩壊後、開発は停滞。最終的に2002年、総額946億円に上る巨額の負債を抱え、民事再生法の適用を申請する事態に陥りました。現在は星野リゾートが事業を継承しています。

この父親の過去は、現職の農林水産相として政策を推進する鈴木氏の背景に新たな視点をもたらします。エリート街道を歩んできた鈴木氏の影に潜む、父親が関わった疑惑の企業経歴と「週刊誌沙汰」の過去は、現在の「おこめ券」問題と相まって、国民の厳しい視線にさらされることになるでしょう。